出版社内容情報
過去はね、変えられるはずなんだよ。
もしかしたら、未来よりもずっと簡単に
初めて港くんと会ったのは、大寒波が到来した冬の日だった。
港颯真・元俳優。写真週刊誌のスキャンダル報道によって、彼は、
少し前に芸能界から姿を消した。
ヨーロッパの街を転々としていたようが、
ここアムステルダムに住み始めたという噂は本当だったのだ。
初めはブルーやグレー、
途中から淡いピンクが重なったり。
彩りはあるけど、虹色と括れなくて、
すごく好きな世界でした。ーーー乃木坂46 高山一実
心も、身体も、酒も、誤解も。
溶け始めた瞬間が、最も艶めかしく、
意識の奥底を温める。
この物語には、人々の瘡蓋を溶かす、
蒼い陽射しがある。 ----リリー・フランキー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
246
アムステルダムを舞台にした、LGBT小説。世の中に溢れる「悲しい誤解」。でも、誤解を解こうとする過程にこそ意味があるのではないか。完璧に理解し合うことが無理だとわかりながら、その状態に近付こうとする試行錯誤こそが、誰かを思い合うことなのだと思う。っていう考え方が素敵です。そんなわけで、「嬉しい理解」方向にサラッと行ってしまうのが物足りないけど、うまく練られた心地よい小説であることは間違いありません。2021/07/12
いつでも母さん
191
『奈落』の余韻が私の脳にあって、今回はどんなだろう・・と。古市さん、こんなのも書くのね~って読めた。男とか女とか恋とか友情とか仕事とか社会とか・・いろいろあるけど、純粋に「ヤマト」と「港くん」この二人の出会いと愛の物語。舞台がアムステルダムっていうのもなんか好い。2020/09/30
なゆ
88
前作の『奈落』が絶望的すぎた反動か、今度はなんと恋愛小説(しかもBL)とは!あの、確か恋愛とかキスとかもイヤだと言ってたはずの古市氏が…!と、とても読みやすいんだけど、そういう雑念に邪魔されてしまった。アムステルダムで冴えないバイト生活のヤマトは、薬物スキャンダルで芸能界を引退した港颯真と出会う。つくづく思ったのは、恋のはじめの戸惑いとオドオドドキドキ感は、同性間も異性間も何ら変わらないのだなと。これが男女間の話ならありふれてしまうのだろうけど、異国ということもあって幻想的にも感じて読後感もよし。2021/02/16
aki☆
86
古市さんがBL⁈読友さんのレビューで知り読んでみた♪これが想像以上に良かった(*≧▽≦) アムステルダムで料理人をしているヤマトと元俳優の港にキュンキュンさせられた♡寂しく地味な生活を送る一般人と、お金があり派手に遊んでいる元芸能人。友情?愛情?ヤマトの戸惑いや葛藤など心情が丁寧で分かりやすく、気持ちの変化もすんなり受け入れられ自然と2人を応援する気持ちになる。ヤマトはほんと良い奴!港もイケメン感溢れてて危なっかしいところも良い(//∇//)ラストどうなるのかと思ったけど、良い意味で裏切られた〜♬︎2021/07/20
☆よいこ
79
BL。オランダのアムステルダムで暮らすヤマトは、彼女に裏切られ失意の毎日を過ごしていた。日本で人気俳優だった港(みなと)は、週刊誌にゲイ疑惑と薬物疑惑を晒され芸能界引退後、気ままに過ごすうちにアムステルダムに流れ着いていた。港は臆病だけど正直なヤマトに甘える。ヤマトも港に強く惹かれるが、ふたりは親しい友人として仲を深めていく▽著者の顔がチラつくので微妙な感覚になりながらも、装画が雲田はるこさんなので許す。著者の顔が浮かぶのでバットエンドも覚悟したがwまぁ王道でした。赤裸々な描きぶりが微妙にBLみを削るけど2023/07/26