内容説明
牢人は抜く手も見せずに太刀を振りかざすと、ずば。長編時代小説。
著者等紹介
町田康[マチダコウ]
1962年大阪府生まれ。高校時代からパンク歌手として活躍。95年、作家活動に入る。97年『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年「きれぎれ」で芥川賞、01年『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞を受賞
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感想・レビュー
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サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
93
【図書館本】実は初町田さん。作品がというよりは作者が気になり試しに借りてみた。椎名誠や嵐山光三郎を「昭和軽薄体」とするならば、差し詰めこれは「平成軽薄体」或いは「平成超口語体」とでも言うのだろうか?鳥類学者の川口さんの文もこんな感じだよね。「軽くてユーモラス」を狙って書いている文体なのだろうけど、ずーっとこの調子で書かれるとかえって読むのに疲れる。面白可笑しくしようと思った逆が滑って「寒い」感じ。うーむ、やっぱり時代小説にこれは合わない。椎名誠は大好きなんだけどなぁ。すまん、挫折本の棚へ。2019/03/28
H!deking
79
映画化決まって14年振りに再読。読み終わらなかったのに我慢できなくて先に映画観てもうた。あかんではないか。これ、最初に読んだときは、はは、おもろ。どっちかっていうとエンターテイメントというか、面白い、笑える系の小説だと認識していたんだけど、今このサッカーワールドカップで日本中が盛り上がり、日本代表の勝敗に一喜一憂しているのを見るにつれ、この小説はもっと深いところをついてるな、と僕は気付いてしまったね。映画も良かった。評価低いけど。うちの奥さんは開始数分で熟睡してたけど。皆さんも腹振りましょうおず!602018/07/07
市太郎
52
町田康のパンク時代劇。時代小説と銘打たれているが、舞台を借りているだけでこれは既存のそれとは程遠いものだ。序盤から町田節が全開、荒唐無稽な展開で、「腹ふり党」とかいう可笑しな宗教が出てきて、出てくる人たちも皆可笑しい。しかし後半には段々グロくなってきて笑えなくなるので苦手な人は注意。無茶苦茶やっているようでいながら、話の筋は割とまとまっているので案外面白く読める。最後には奇妙なカタルシスさえ得られるのは巧くまとめたな、と感心するべきなのか、こじんまりしすぎてると批判するべきなのか。普通の小説に飽きた人に。2014/02/10
Y2K☮
30
時代小説なのか? パンクの枠すら取っ払った、もはや文学かどうかも曖昧な独自性。レトリックで誤魔化す出たとこ勝負か計算づくの破壊か。勢力の衰えた宗教集団・腹ふり党を政治的野心の為に蘇らせたら、想像以上の規模になって城と町を燃やされるって一体何の風刺だ? 何の考えも持たず、ただ楽しそうで流行ってるからと腹ふり党に入って好き放題暴れる馬鹿な大衆は? 偉ぶるだけで働かぬ腰抜け侍の代わりに彼らと戦う一億の猿は? そして世の動きに左右されぬ個人の思いが一番最後に待ち構える。結論。馬鹿も猿も侍も拙者は全て御免こうむる。2015/05/06
風眠
30
町田氏の作品を読むのはこれが2冊目であるが、町田氏が駆使する言葉は、脳みその普段刺激されることが無いような箇所を、さわさわ、ちくちく、そわそわ、ってされてるような感じがする。その正体は「強烈な違和感」なのではないかと私は思う。ちょんまげに帯刀、どこからどう見てもお侍さんなのに、話していることは現代のサラリーマンみたいだったり。腹振り党なる宗教団体は、単なる悪ふざけにしか思えない。そして、さしたる根拠も理由もないのにすぐ人が死ぬ。この徹底した独特な雰囲気は「美しき不条理」と名付けたい。町田さん、すごいです。2013/01/07
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- 和書
- 佚斎樗山集 叢書江戸文庫