内容説明
「これからは自分らしく生きることにしたんだ。黒々とした髪七三に分けて、あんこ喰っててもしょうがないだろ」武家茶道家元後嗣・友衛遊馬18歳。彼はそう言って家を出た―。酔狂な茶人たち、ほんのり甘い恋心、そして消えた茶杓…。京の都で繰り広げられる茶ごころたっぷりの傑作エンターテインメント。
著者等紹介
松村栄子[マツムラエイコ]
1961年静岡県生まれ。筑波大学第二学群比較文化学類卒業。90年に『僕はかぐや姫』で海燕新人文学賞、92年に『至高聖所(アバトーン)』で芥川賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
七色一味
65
読破。最初は、イライラ。まぁこの手の主人公は、どうもイライラしてしまうんだけどねぇ。なぜかというと、何だかんだ言っても、結局持ってるものが違うというか…。行くべき道が見えているのに、ぶーぶー文句だけ言って行こうとしない、何も持っていない人からすると腹立たしい。なら、全てを捨てて、漁師でもマタギでも木こりでもドライバーでも、なんでもやってみたらいいじゃないか、と思ってしまう。結局、戻れる場所があるというあたりが、どうもイライラさせられる所以なんだろうな…。とか言いながら、続編も楽しみにしてるという…。2012/10/28
あつひめ
64
生まれる前から敷かれている人生のレール。そのレールに違和感を覚えていくあたり…ただのやんちゃ坊主とは一味違う。やりたいことなんて実際にはそう簡単には見つからない。自分を知らない人の中で生活することで今まで何気なくしていたことがとても意味ある事だったり、他の人からしたらとても素晴らしい事だったり。見る立場、見る位置で物事って全く違ってくる。それをゆっくり吸収した時間だったのではないかな。兄の背を見て弟は育つ。反面教師的な意味でこの兄弟、また父&祖父も真っ直ぐな心根をもった人たちかも。掛け値なしで面白かった。2012/10/09
Norico
52
「明日町こんぺいとう商店街」で気になった作家さん。東京の小さな茶道の家元の長男が、自分探しの旅に出ます。自分探しっていうとかっこいいけど、家出も完全に成り行きだし、遊馬バカすぎて前半はちょっといらいらしちゃいました。でも、だんだん成長も見られ、弟子もとり(笑)、最後はなかなかよい男になっていきそうな終わりでよかった。詩の部分は笑いました。不穏さんがかっこいい。2015/10/11
horihori【レビューがたまって追っつかない】
42
読み逃していた続編のために、13年ぶりに再読。家元の修行から逃げ出して、家出した遊馬。18歳の男の子なら、こんなフラフラも若さ故と思えるのは、私の年の功かしら…。もうちょっとしっかりしてほしいなと思ったのは、私に子どもができたからかしら。13年ぶりの読書は、私の気持ちの変化を知ることができました。2021/06/24
BlueBerry
41
実は再読だったのだけれど、単行本の方で登録してみました。風にも」も読み終わってからの再読なので伏線とかがよく分かって楽しめました。風にも」の方も再読の予定。2013/10/01