内容説明
アナ―主人のために仕えることが生きがいの昔気質の奉公人。憧れのレーントマン夫人にも一生懸命尽くすのだが…。メランクサ―上品で美人の混血の黒人娘。青年医師ジェフとの恋に、ひたむきに向かっていくメランクサだったが…。レーナ―おとなしくてなにもかもまわりの言いなりになるドイツ娘。感情もなく、結婚して子供を生んで、それから…。20世紀の巨匠ガートルード・スタイン、感動の処女作!超独特な文体、微妙な心理描写―読むほどに目と耳と、そして心が吸いこまれていくスタインの世界。時代を超えて今、すべての女性たちに贈ります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.T
19
二人目の女、メランクサの恋愛が身につまされる。男の方と女の方(メランクサ)の会話が細かい。何度も同じようなことばが繰り返されるが、その書き方がまるで自分に乗り移るような錯覚になる。思考は同じところをなぞりながら進む。でも結局、おずおずした奥手の男は飽きられ、手の早い男にしがみつく…そんな月並みな女がメランクサだった。なんだ!平凡な女だ。黒人女性と男性の恋愛の中で、黒人であること、黒人社会はどんなものかも織りこまれた実験的な小説。1905年(明治38年)作。2024/02/23
qurulinter
1
本当にくどい!でもそれが現代ではウケるっちゃウケるんです。2010/06/01
なわしろこころ
0
「地球はまるい」を読み、さっぱり分からず、それなのに何故か他のも読んでみようと思った。相変わらず文体は非常に特徴的だが、「地球はまるい」のときよりも鍛えられたのか、それがイコール分かりにくいという感じ方はしなかった。むしろこの書き方は、人間関係の複雑な部分を「輪郭をなぞる」のではなく「浮かびあがらせる」ように表現するのにとても良いのではないかと思った。上手く言えないけれど読んでみてほしい。2022/06/29