内容説明
古典文学を読む際、その言葉に対する正しい認識と理解は不可欠である。古典作品を文学理論から分析することも大切だが、言葉に対する正しい認識と理解が不充分では、砂上の楼閣となってしまうだろう。作品を言葉から読むことによって、どのような作品世界が立ち現れるのか。それぞれの問題意識をもって、気鋭の論客29名が論ずる。
目次
『竹取物語』の求婚譚の構造―「心のしたく」・「心たばかり」と主従の位相から(青木慎一)
『うつほ物語』成立過程論管見(松岡智之)
『うつほ物語』俊蔭女の尚侍就任と仁寿殿女御―「労」をめぐる人間関係の諸相(猪川優子)
「労あり」「らうらうじ」攷―『うつほ物語』のことばと思想(大井田晴彦)
文を見たがる人々―『うつほ物語』における聖婚関係(武藤那賀子)
『うつほ物語』藤原季英の物語再読―「身の便りなき」藤英と勧学院(西本香子)
『うつほ物語』「国譲・上」巻における袖君の引き取りと「髪」(富澤萌未)
『うつほ物語』楼の上・下巻における八月十五夜の演奏会(正道寺康子)
『うつほ物語』の「梅」表現試論(三浦則子)
『うつほ物語』の叙述意識と、絵解なるもの(本宮洋幸)
継子譚と孝養―『落窪物語』中納言七十賀屏風歌と長寿(坂本信道)
『枕草子』「清涼殿の丑寅の隅の」の章段における芳子の逸話―父と娘の描写に着目して(村田駿)
『紫式部日記』における紫式部と道長の和歌―「露」と「分く」という言葉に注目して(佐藤有貴)
平安文学語彙論考―「あやしき道」という言葉をめぐって(室城秀之)
葵巻・六条の御息所の魂の言葉―寂しさの表出として(鈴木裕子)
村雨のまぎれの光源氏―『源氏物語』における「ひき隠す」をめぐって(竹内正彦)
表現としての官職―『源氏物語』澪標巻の「靫負」と「随身」(秋澤亙)
侍従の誓い―『源氏物語』「蓬生」巻における「たむけの神」をめぐって(佐藤洋美)
「親めく」光源氏―夕霧への対応についての“語り”(吉井美弥子)
「混血」の水鳥―『源氏物語』玉鬘巻「水鳥の陸にまどへる心地して」の諺的表現から(浜田賢一)〔ほか〕
著者等紹介
室城秀之[ムロキヒデユキ]
白百合女子大学教授・博士(文学)(東京大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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