内容説明
本書は、『伊勢物語』『大和物語』『うつほ物語』『枕草子』という十世紀に成立基盤を持つ文学作品を対象としている。理由は二つある。一つは文学史的にはバラバラなジャンルに位置付けられた作品であるがゆえに見過ごされてきた関係性を見直すため。もう一つは日本古典の最高傑作とされる『源氏物語』よりも前に成立した作品の意義を見直すことで『源氏物語』もまた数々の先行作品の蓄積のもとで成立したことを改めて見直したい、ということである。
目次
序章 十世紀文学における「語り」と「書記」の問題について
第1篇(『伊勢物語』における「語り」の問題;『大和物語』における(記録)の方法
『大和物語』における桂の皇女関連章段採録の意図
『大和物語』柔子内親王関連章段における「省筆」について)
第2篇(『うつほ物語』における和歌と歌物語性―藤原兼雅の例から;『うつほ物語』における音楽性とエクリチュール―「語り手」の存在と「会話文」「絵解」;『うつほ物語』「内侍のかみ」巻における朱雀帝・仁寿殿の女御の(対話)
和歌を「書きつく」ことが示す関係性―『うつほ物語』から『源氏物語』へ)
第3篇(『枕草子』における中宮定子の「語り」と「書記」一―「清涼殿の丑寅の隅の」章段から;『枕草子』における中宮定子の「語り」と「書記」二―「殿などのおはしまさで後」章段から;『枕草子』雪山の章段における(聖)と(俗))
著者等紹介
勝亦志織[カツマタシオリ]
現在、中京大学文学部日本文学科教授。専門は平安時代から鎌倉時代における王朝文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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