内容説明
総勢42名の中古文学研究者はこの危機下で何をなそうとしたのか?2020年は、気候変動による甚大な自然災害の多発、新型悪性感染症の世界的蔓延、新自由主義経済が招来する貧富差の拡大、国家・民族・人種間の分断、民主主義の脆弱さの露呈、そして核兵器を中心とする軍事力拡大競争など、人類の生存に関わる自然と人為的な脅威が多発した年、危機下の一年として、いずれ回想されることになろう。そのような一年を、文学に関わる者として我々はどう過ごしたのか。将来そう問われたときに、何と答えるべきか。中古文学研究という場において、我々は何をなし得たのか、あるいは何をなそうとしたのか。本書は、この問いに対する回答を研究論文集として一書にまとめ、広く江湖に提示するものである。
目次
河内本源氏物語の校訂方法―若紫巻を中心として(上)
散佚物語「あまのもしほび」について―物語と戦乱
『源氏物語』研究の遠近法―コロナ禍を契機に考える
「契り」と「宿世」―『夜の寝覚』論に向けて
異界と現実を橋渡す古代物語を読む―二〇二〇年の試みから
紅葉賀の行幸―平成の『源氏物語』研究の源流をさぐる
『狭衣物語』異本系本文の世界―「親子の情」に見る改変の論理
古典教育から考える、見えない「疫病史」―『枕草子』における授業実践から
『枕草子』の“菖蒲・あやめ草”―「アンチエイジング」の言葉
オンライン時代の学会運営とICT活用―中古文学会のオンラインシンポジウムを企画して〔ほか〕
著者等紹介
久保朝孝[クボトモタカ]
愛知淑徳大学教授(文学部・大学院文化創造研究科)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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