内容説明
藤原彰子の文学活動・文化活動をあらためて考えなおそうという機運が高まっている。彰子やその周辺の人々がいかにこの文化圏を創造し、関わりをみせてきたのか。これまで貴重な提言を公にしてきた18名の錚々たる研究者が、この芳醇かつ難解な課題に多角的に挑む。
目次
『御堂関白集』の中宮彰子
『御堂関白記』における藤原彰子
女房たちを書きとどめる『紫式部日記』―「女房名」の政治性を超えて
敦成親王誕生時の「御物怪」記事―『紫式部日記』と『栄花物語』、各々の意図
『紫式部日記』の中宮彰子―女房集団との関係
『紫式部日記』の白の室礼描写―産養時の白綾屏風をめぐって
『紫式部日記』に描かれた彰子後宮―清少納言批判の水脈を辿って
忌まわしき“嵯峨”のトポス―『源氏物語』の作者紫式部にみる、ひそやかな反逆
六条御息所の弔問歌―さし置くという行為の意味するもの
“美化”される藤原彰子像―『栄花物語』いはかげ巻における『源氏物語』賢木巻受容から
『栄花物語』と『紫式部日記』のあいだ―学習院本がひらく、「初花」巻の新たな読み
『栄花物語』正編、後宮運営に関わる者の系譜上における道長
『栄花物語』法成寺グループの文体形成―彰子文化圏における仮名散文の問題として
藤原頼通の文化世界領導認識―「高陽院行幸和歌」から「上東門院彰子菊合」へ
中宮彰子文化圏と『更級日記』
彰子女房文官の継承―郁芳門院安芸とその集を中心に
興福寺八重桜説話の展開と上東門院
著者等紹介
桜井宏徳[サクライヒロノリ]
成蹊大学非常勤講師・博士(文学)。論文「宇治十帖の中務宮―今上帝の皇子たちの任官をめぐって」(「中古文学」第九三号、2014年5月。第八回中古文学会賞受賞)
中西智子[ナカニシトモコ]
早稲田大学非常勤講師、亜細亜大学非常勤講師・博士(文学)
福家俊幸[フクヤトシユキ]
早稲田大学教授・博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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