目次
海渡りサンフランシスコに来てみれば土手に咲く咲くイロマツヨイの花
冬の夜にケーンケーンと鳴く声をきつねと教えしわが祖父母よ
ミッドウェイ加賀は海に呑まれゆくその船底に吾が「父」います
枇杷の実のたわわに実る庭園が火宅なりとは知りもせず
グミを食み野いちご摘んで歩くなり楽しきかなやこども連隊
石垣のいちご摘みにとこどもらは黙してあゆむ母屋の東
「しにました」泣き伏す男見つめつつ「愛」というもの、あること知りき
「おかあさん」抱きつきしは妻夫木君稽古では出さぬ子雀の強さよ
夕闇の迫り来るころ護王神社に灯が入りぬこわくてこわくて走り抜く
カナダからはっかとバラのいい香り角を曲がると私のクリスマス
京大の先生の家もようあってええ子にならはる他人は言ふ
ふと見あぐドームにしなう夏草は青々青と生命を歌う