内容説明
本書は、従来の和漢比較文学研究の学術的な蓄積を受け止めつつ、「渤海」「西域」「天竺」「林邑」といった言わば東ユーラシアの第三極を積極的に捉え直し、そのことで「和・漢」のあり方さえも新たに可視化・立体化のできるような問題提起をし、編者3名に加え、論客13名の研究成果を広く学界に提供しようとするものである。
目次
渤海使節を迎えた平安皇権―『源氏物語』の一風景
桐壷皇権と春鴬囀の風景
平安物語と異国意識―『竹取物語』『うつほ物語』『源氏物語』を中心に
『うつほ物語』と『源氏物語』の学問―物語は読者を学問へといざなうか
『源氏物語』古注釈書にみる和漢の往還―『光源氏物語抄』所引漢籍考
和漢と三国2―イメージの奔放と捨て置かれる現実の間で
東ユーラシアにおける庭園と蓬莱―王朝庭園文学論序説
書物の所在と物語文学
『蒙求和歌』と『源氏物語』
『源氏物語』の準拠の方法―定子・楊貴妃・桐壷更衣
光源氏の明石転居と儒・道・神・仏―その逡巡の思想的背景
『うつほ物語』と仙界の音楽
可能性としての『琴操』―散文と韻文をいかに結合させるか、『伊勢物語』を軸にして
翁まろの涙―『枕草子』「上に候ふ御猫は」の段と堕畜生譚
『枕草子』「殿上より」の段の本文異同と前田家本の編纂方法―漢詩文をふまえた応酬をめぐって
女が歴史を書くということ―東ユーラシアの中の『栄花物語』
院政期日本の文化的転換―『後二条師通記』から読む「契丹」
著者等紹介
小山利彦[コヤマトシヒコ]
専修大学名誉教授・博士(文学)
河添房江[カワゾエフサエ]
東京学芸大学教授・博士(文学)
陣野英則[ジンノヒデノリ]
早稲田大学教授・博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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