内容説明
本書はイギリスでなされつつある、生物系統学のプログラムを文献学に応用した研究手法を『源氏物語』で初めて試みた研究書。『源氏物語』諸本の異同を数値化して、信頼に値する諸本系統図を導き出した。また、さまざまな写本・版本・活字本の異同を分析することによって物語内容の変化を浮き彫りにし、さらには中近世に於ける『源氏物語』享受の具体相を明らかにした。資料編として『源氏物語』享受の一端をあらわす未翻刻の資料を付す。
目次
第1部 『源氏物語』本文系統の再構築(揺らぐ「青表紙本/青表紙本系」;中世における源氏物語の本文―了俊筆伊予切「夕顔」巻の本文系統;『源氏物語』諸本分類試案―「空蝉」巻から見える問題)
第2部 『源氏物語』の本文世界(賢木巻の本文世界素描(一)―源氏をめぐる女君たち
賢木巻の本文世界素描(二)―苦悩する/したたかな藤壷
絵合巻の本文世界素描―朱雀院の造型と絵
絵合巻きの物語絵合と源氏の造型―諸本文の差異から
本文の差異から読み解く源典侍)
第3部 『源氏物語』の享受(『光源氏物語抄』から『河海抄』へ―注の継承と流通;今川了俊筆『源氏物語』について―注記の性格と古筆家の改装;近世前期の写本製作―伝三条西実枝筆『源氏物語』表紙裏反故から)
資料編
著者等紹介
新美哲彦[ニイミアキヒコ]
1996年早稲田大学教育学部卒業。1999年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。2004年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。2004年より2008年まで呉工業高等専門学校講師。2008年よりノートルダム清心女子大学文学部に勤務。現在、ノートルダム清心女子大学講師。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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