内容説明
不思議の世界と現実の世界を自由に行き来するケルト人の世界観は妖精伝説や昔話に語り継がれ、そして、人々の心に響く。アイルランドUCD民間伝承部収集の話を原典に忠実に翻訳。内二話はアイルランド語から直訳。民話の旅の途中には現在のアイルランドを探訪する。
目次
第1章 妖精の丘が火事だ!―妖精などの不思議な世界(お話を知らなかった男;チェンジリング;妖精の子ども;取りもどされた花嫁;ジョン・ハケットがフランスの王女をもらった話;妖精のお産;みなしご娘と妖精;妖精の丘が火事だ;クロナゴーワンの妖精の巻;海の底から来た子ども;不思議な船;眠りを知らない男;魔法のバイオリン;仕立て屋とウサギ女房)
第2章 月の裏側に住む巨人―昔話(ショーニーンの竜退治;月の裏側に住む巨人;黒い盗賊とコナル王の馬;魔術の達人偉大なかじ屋;農夫と少年;馬車屋キャロル;どろ足ダフィー;悪魔の息子;晴れの葬式と雨の葬式;白い雄牛;王さまの耳はロバの耳;世界のはての井戸)
著者等紹介
渡辺洋子[ワタナベヨウコ]
アイルランド伝承文学研究。朝日カルチャーセンター千葉、大学書林国際語学アカデミー英語講師
岩倉千春[イワクラチハル]
アイルランド・イギリス民話研究。東邦大学、文京学院短大非常勤講師
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感想・レビュー
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シュシュ
23
アイルランドの昔話と、暮らしや歴史についてのコラムが一緒になっていて、面白く読めた。妖精の国アイルランドは昔話の宝庫。妖精たちは何よりも音楽を得意とし、『ダニー・ボーイ』はもともとは妖精たちが歌っていたものだという。特に好きな話は、母親の愛を感じる『白い雄牛』。「アイルランド人は外部からのさまざまな勢力に影響され、試練に遭遇しても、結局最後まで、彼らの祖先ケルト人から受け継いだ、自由の精神と豊かな想像力を失うことはなかった」人々に語り継がれた昔話ってそういうものだと思う。 2019/08/02
ゆã¿ã“
0
『アイルランドに最初の人類が住み始めたのは、八千年くらい前だろうと言われている』のだから、発行日を確認しても数年、或いは数十年のズレなど誤差のうちに入らないよなぁと思いながら読み始めた。2013/07/25
hiyo07
0
1つの妖精話の形をとっても、様々な変化形が各地にあるそうで、そうした対比や説明も興味深かった。不思議な話を愛するアイルランド人というイメージは未だ強いが、日本ではダイレクトに鬼や妖怪がスパルタで人間達の素行を正していたように、妖精や不思議なものたちの力が、多くの教訓を伝えていたのだと改めて思った。中には可笑しい話も含まれていたけれど。非常にローカルな匂いのする作品集、アイルランド好きならずとも、ファンタジー作品として楽しめる・・・かな?2011/05/19
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