内容説明
江戸は女霊の時代であった。美しくも醜怪な幽霊像のゆがみと哀しみ。それは江戸期に始まる日本怪談の原風景であった。人の心の本源に怪異のうごめきを暴きだす庶民仏教の思想を地下水脈として、女霊の物語は文芸、芝居、絵画といった市井の表象文化に昇華してゆく。江戸はまさしく“怪談の世紀”にほかならない。
目次
序 幽霊とは何か
第1章 仏教と怪談―心の深淵を覗く
第2章 因果・因縁を語ること―江戸の恐怖感覚
第3章 怪異と教訓―儒仏思想は何を残したか
第4章 女霊の時代―妬毒の沼に沈んで
第5章 演じられた怪異―女霊の姿かたち
第6章 侍のイエに祟る女霊たち―江戸の王権と怪異
第7章 生活の中の異界―性・婚・嫉
第8章 地方口碑と江戸怪談―風土という視点
終章 近代文学への通路
著者等紹介
堤邦彦[ツツミクニヒコ]
1953年生まれ。京都精華大学名誉教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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