内容説明
不気味でありながら人情味にじむ幽霊画。死してなお子を育てる「子育て幽霊図」。魔除けになった血みどろの「後妻打ち図」。伝円山応挙の絵をめぐる講談の世界など。絵をめぐる幽霊済度の物語や、掛け幅自体を雨乞いの呪物に使った仏教民俗の歴史とともに東北から九州に及ぶ寺院が所蔵する隠れた名品を取り上げ150点のカラー図版と合わせて解説。
目次
第1章 寺と幽霊画(高僧絵伝から幽霊画へ―死者救済の思想と図像化;子抱き幽霊図の原風景―産死供養の図像;円山応挙伝説考―幽霊画をめぐる「物語」の成立)
第2章 血族の証明(幽霊画の秘密―金沢・鶴林寺;失われた絵の帰還―会津市松沢寺;奥州四十九院家の記憶)
第3章 寺蔵幽霊画を巡る旅(みちのく幽霊画紀行―呪具としての死者図像;幽霊画のまち―弘前市禅林街;御用絵師の女霊救済;薄幸の女霊図―丹後夕日ヶ浦;「産女の幽霊」を祀る―長崎光源寺)
第4章 幽霊画と江戸怪談(江戸はなぜ女霊の時代となったのか―後妻打ち怪談をてがかりとして)
著者等紹介
堤邦彦[ツツミクニヒコ]
1953年生まれ。京都精華大学教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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