内容説明
ケルト人が信じた不老不死の楽園、常若。古代熊野人にとっての永遠の異郷、常世。ユーラシア大陸の両端をつなぐ理想郷への憧れと、死と再生の精神世界を訪ねて。
目次
常世の国と常若の国―プロローグ
大陸のケルトと島のケルト
通じ合う熊野のケルト
今なお新鮮な梅棹忠夫説
双方に流れる優しい空気
司馬遼太郎が見た道路標識
「何でもあり」の熊野は心地よい
暖流がそれぞれの風土をつくる
「マッサン」が学んだ半島の町
火山活動が生んだ共通の奇観〔ほか〕
著者等紹介
桐村英一郎[キリムラエイイチロウ]
1944年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1968年朝日新聞社入社。ロンドン駐在、名古屋本社経済部次長、大阪本社経済部長、東京本社経済部長、論説副主幹などを務めた。2004年末の定年を機に東京から奈良県明日香村に移り住み、神戸大学客員教授として国際情勢などを教える一方、古代史を探求。2010年秋から三重県熊野市波田須町に住んでいる。三重県立熊野古道センター理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さたん・さたーん・さーたん
3
宗教的寛容さ、暖流がはぐくむ風土、王道から外れた地方文化あたりを共通項に、日本の熊野とアイルランド・スコットランドを同時進行で語る。著者が実際にアイルランドを周った旅行記も所々に、ケルトの文化を紹介したり、一方の熊野に転じて神仏の宗教観や自然を比較。複雑に絡まる宗教史より、素朴なアイルランドの旅日記がよみやすかった。2018/05/31
半崎クジラ
2
熊野は高校を卒業して間もない頃に、父に連れられて行った。正直何時間もドライブし続けた父への衝撃が大きくて、それ以外の記憶があまりないのだが、磐座侵攻とかやたら山深いところにある大きい神社の風景は頭の隅にある。 そんな熊野とケルトの不思議な共通点について探るエッセー。その筆は時々浪漫に走りたがるので研究書ほど厳密には読めないが、紀行文と神話学をからめた本として、想像を膨らませながら読める。本書のラスト、社会問題と絡めた提言は元新聞記者という感じがした。それまでの雰囲気からちょっと毛色が変わったので驚いた。2022/10/08