内容説明
ラフカディオ・ハーンの怪談やグリム童話が日本民話の中でいかに変容したか。現代伝説や学校の怪談話等にみる民話伝承の現実を伝える。
目次
伝承の近代(「雪おんな」伝承論;「幽霊滝の伝説」の変容;近代における外国昔話の受容 ほか)
現代の視座(「母の子殺し」―その伝統と現代;現代伝説の中の異界―「東京ディズニーランド」と「学校」;怒りからの出発―瀬川拓男の民話論 ほか)
伝説と昔話の周辺(口承文芸研究の課題―「博物館」へも行こう;伝説の伝播;北条時頼回国伝説 ほか)
著者等紹介
大島廣志[オオシマヒロシ]
1948年東京生まれ。1970年國學院大学文学部日本文学科卒業。現在、國學院大学・東京家政大学短期大学部・東京実業高校非常勤講師。民話と文学の会運営委員、全日本語りネットワーク運営委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
8
「2002年2月に、野村純一編著『柳田国男未採択昔話聚稿』(瑞木書房…)が刊行された。ここには柳田國男の元に報告された昔話資料で、いまだ活字化されていない貴重な昔話が収められている。活字化されなかったのは、昔話資料自体に不安定な要素が含まれていたからであろう。その不安定要素の一つには、外国昔話との類似がある。実際『柳田聚稿』の中には、グリム童話の影響下にある昔話をいくつも見い出だすことができるのである。それゆえに、明治・大正期における外国昔話の受容を考えるとき、『柳田聚稿』はまたとない得難い資料といえる」2019/04/08