出版社内容情報
「厄介」と煙たがらないでくれ。好きでやってるわけじゃない。江戸時代、兄もしくは甥の世話になっている者を「厄介」と呼び、幕府の役人は無神経にもそのまま公用語とした。兄の都築孝蔵は六百五十石取りの旗本だが、親重代の借金があったため、弟の弥三郎を他家の養子にできる大金をつくる器量はない。厄介という身分に辟易し、家を出た弥三郎が拓く波瀾万丈の凄絶な人生をえがく。
内容説明
江戸時代、兄もしくは甥の世話になっている者を「厄介」と呼び、幕府の役人はそのまま公用語とした。兄の都築孝蔵は六百五十石取りの旗本だが、親重代の借金があったため、弟の弥三郎を他家の養子にできる大金をつくる器量はない。厄介という身分に辟易し、家を出た弥三郎が拓く波瀾万丈の凄絶な人生!
著者等紹介
佐藤雅美[サトウマサヨシ]
1941年1月兵庫県生まれ。早大法学部卒。会社勤務を経て、’68年からフリー。’85年『大君の通貨』で第4回新田次郎賞、’94年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
53
面白かったです。江戸では部屋住みのことを「厄介」と呼ぶのですね。しかも公用語。親の借金のため、自立できず、厄介という身分に辟易する弥三郎の気持ちがよくわかります。家を出て波乱万丈の壮絶な道を歩むことにはなりましたが、弥三郎は彼なりの生き方を見つけていったのだと思います。2020/11/19
qoop
5
部屋住みのまま一生を送ることに飽き足らず足掻く旗本の次男を主人公にした本作。半分悪に染まりながら純な部分を併せ持つ複雑さはいかにも著者らしい。普通の作家なら三、四作は書けそうなほどのアイディアを破綻なく詰め込む筆力も魅力。シリーズ物以外の著者の作品を読んだのは久しぶりだが、主人公視点でないと魅力半減のためシリーズ物の主要ゲストとするには不向きなのだろうし、この主人公でシリーズ化するには重くなり過ぎるだろうな、と。2018/02/18
6
0
△2018/11/26
ろかす
0
江戸の文化に精通し、世情もがっちり押さえての取り回し、もう玄奥の江戸話。これからも楽しみたい人の心の機微ですね!2018/02/14