内容説明
なぜ、いまなお『学問のすゝめ』はこんなにも新鮮なのか!この本には、抽象論は一つもない。すべて、現在および未来への具体的・実践的提言である。たとえば、時に孔子・孟子さえも容赦なく切り捨て、今川義元とナポレオン三世の「部下の質」を問題にして危機管理力をズバリ説いてみせる。抽象論は役に立たない。福沢“実学”に勝る人生勉強はない。
目次
天は人の上に人を造らず
勉強しない人ほど損な人はいない
独立の「気風」をいかに育て、守るか
「人の上に立つ人」の責任とはなにか
人間の「勇気」はどこから生まれるか
法律の貴さを論じる
国民のなすべき務めを論じる
自分の考えだけで他人を評価してはならない
学問の目的とはなにか―中津の旧友に贈る
明日に希望が持てる生き方を―前編の続き、中津の旧友に贈る
ニセモノ紳士の実体
効果的なスピーチのすすめ
怨望は何よりも有害であること
自己の精神を再点検する
「取捨選択」を誤るな
「物質的独立」なくして精神の独立はない
人望は人間の大きさ・仕事の大きさに比例する
著者等紹介
檜谷昭彦[ヒノタニテルヒコ]
1929年東京生まれ。53年慶応義塾大学文学部卒、59年同大学大学院博士課程修了。慶応義塾大学教授、名誉教授、文学博士。専攻は近世日本文学、主として井原西鶴の作品の研究。著書に『井原西鶴研究』『西鶴論の周辺』『日本人と嘘』『ことわざの世界』『未練の文学』『江戸時代の事件帳』など多数。98年没
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろき@巨人の肩
41
Febeにて。スマイルズの自助論と並ぶ明治の自己啓発本ということで挑戦。人民そして国家が独立を維持するため人は学び続けなければならない。現代においても、その内容は至極全うであり色褪せていない。明治初期の刊行と考えると福沢諭吉の凄さに驚く。9編の後世に文明の遺産を残せないのは蟻と同じ、13編の怨望が最も醜い感情という考え方は興味深い。ただ自助論と比較して論調が厳しすぎると感じる。洋学への憧れからか過去の日本人を反例とした例も多く、現代社会に蔓延る所謂、自虐史観が既に垣間見えているのが残念だった。2015/12/13
Lee Dragon
22
諭吉先生のファンになりました。猛毒のパンチラインがキレるキレる。真理の追求は常識の懐疑から常に始まる。とは言え、すべて批判していてはことが成り行かないので、見極める力が必要である。その眼は真の学問によって涵養されるのである。当時からしたらとてもセンセーショナルだったんだろうな、古さを一切感じさせないような内容ということは現代の感覚に近い内容とも言えるし,まだまだ諭吉先生の理想にこの国が届いていないとも言える。名著。2021/08/31
黒木 素弓
14
今読んでも、まったく色あせない内容。それどころか、今この時代だからこそ、一人でも多くの日本人が読むべき本だとも思った。何度も読んで、体にしみこませたい。2014/04/19
はづきち
13
オーディオブック。福沢諭吉の有名な本を、慶應義塾大学名誉教授が現代語訳したもの。恥ずかしながら『学問のすゝめ』の全てに目を通したことはなかったので読んでみました。 人に貴賤の差はなく平等である。常に実生活に役立つ学問を学べ。自由に生きろ、その代わり義務は果たせ。物質的な独立と精神的な独立を目指せ。日本がそれまでの封建社会を脱却して近代民主主義国家に舵を切ったばかりの頃に書かれた文章のはずなのに、現代にも通用することが書いてあるのに驚きました。福沢諭吉が今の日本を見たら、がっかりすることばかりかもなぁ…2022/10/26
りょうみや
12
初めて福沢諭吉に触れる。学問することの重要性、人と権利と自由、男女平等、政府と国民とは、法治国家など今でも色褪せない内容だし、明治初期にはかなり画期的な内容だったのだろうと想像できる。強く強調されている日本の独立の気概に関しては、この時代ならではと言えるが、1周して現代でも強調すべきことかもしれない。学問は本を読む、理論で終わるだけではなく実践しなければ意味がないというのは、耳が痛い。2016/12/17