出版社内容情報
戦争のない平和な時、古代ローマの兵士たちは何をしていたのでしょう?
司令官は兵士が無為に時間を潰すことを恐れました。
そして兵士たちから“暇な時間を奪い取るために”、土木事業に動員しました。
兵士たちはトンネルを掘り、街道をつなげ、橋を作り、そして水道を引いたのです。
そのおかげでローマ帝国は類を見ない大都市へと発展していきました。
古代ローマの兵士たちがどのような立場や環境のもとで、
どのような工法により土木工事を行っていたのか、
詳細なイラストによって、まるで当時の工事現場にタイムスリップしたかのように体感することができます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
108
古代ローマの社会インフラ建設については、塩野七生『すべての道はローマに通ず』でほぼ尽くされている。本書もほとんどで重なっているが、実際の建設プロセスをカラーで再現したイラストを多数収録し、文章による説明だけではピンとこなかった土木技術の詳細を理解できるよう工夫している。欧州や北アフリカで様々な街道や水道橋、円形闘技場の遺跡を見てきたが、あれだけの建築物を作り上げたローマ人とその軍団の知恵と能力には感嘆するしかない。2千年前にインフラ整備が国家の基礎であると見抜いていたからこそ、人類初の大帝国を築けたのだ。2023/01/29
組織液
15
ガリア版もそうでしたがこのシリーズ文章が読みづらい()。それ以外は素晴らしい本でした。電気も油圧装置も便利な動力機関もない中で、ほんとに凄いなぁ。特に橋脚の敷設方法はよくこんなの思いつくなと脱帽。ローマ時代はあまり水車が使われなかったなんて話もありますが、橋脚敷設の際の排水作業は非常に上手く水車を使っている例ですね。また、当然土木建築事業は今も昔も厳しい自然を相手にするわけですが、その偉業を讃えるために「いかに自然環境が過酷であったか」を盛って記録してるのも面白かったです。2023/07/22
氷菓子
7
古代ローマ時代の運河、道、橋、水道橋、採石場、円形闘技場の建設の様子が温かみのあるイラストで描かれていて素晴らしい。正直、文章は読みづらくて頭に全然入ってこなかったけど、イラストを見るだけでどういう道具を使ってどういう工程で建設が行われたかは把握できる。クレーンや杭打ち機は人力で動かしてた訳だけど、それで現代の建造物より長期間残るものを作っていたのだからすごいとしか言いようがない。実在した街の鳥瞰図も綺麗。2023/09/28
新天地
4
見開きで描かれる数々の工事・建築現場や都市の悠大なイラストを眺めるだけでも満足度が高くて面白いが、その絵の元である街道や水道橋や街や石碑が現実の史料として残っているという壮大なスケールが堪らない。どんな国家も諸行無常だと思うが、それが自然の中に切り拓いた文明の遺産が今も残るどころか一部は利用され続けているというのはとても偉大で感動する。ただ、本書で言われている建築物の地名や場所が何処の国のどの地域かを掴むために古代ローマの年代別の地図があればもっと理解が進んで楽しくなったと思うので次回の企画があれば是非。2025/03/16
takao
3
すばらしい2023/07/09