内容説明
隠した顔にメロン帽子。曇り空の前に現れたこの男は何者か?日本人初、ベルギー王立美術館公認解説者による、従来の解釈をくつがえす新しい作品解説。作品のほか、当時のモノクロフィルム、現在のマグリットゆかりの地の写真など、豊富な図版とともに、マグリットの人生が今解き明かされる。
目次
第1章 1898~1917年―誕生・青少年期
第2章 1918~1925年―シュルレアリスム以前印象派から抽象画へ、そして未来派とキュビスムへ
第3章 1925~1930年―シュルレアリスム第1期紺色の時代
第4章 1931~1942年―シュルレアリスム第2期確立期
第5章 1943~1948年―太陽と牡牛の時期模索と激動期
第6章 1949~1967年―青空のシュルレアリスム
著者等紹介
森耕治[モリコウジ]
京都出身。美術史家。マグリット美術館が併設されているベルギー王立美術館公認解説者。ポール・デルヴォー美術館公認解説者。5歳のときから油絵を学び、11歳のときに京都の洋画家川端紘一画伯に師事。ソルボンヌ、ルーブル学院、パリ骨董学校等に学び、2009年にベルギー王立美術館より、日本人として初の公認解説者として任命される。2010年よりポール・デルヴォー美術館の公認解説者も兼任。美術愛好団体「絵画の会」の常任講師。美術館での活動以外に、毎年10回以上の講演会を開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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徒花
333
おもしろかった。大判でフルカラー、絵画の点数も多く、それぞれの作品についても詳しく説明されている。また、実際に著者がマグリットの故郷などに赴き、そこで撮影された写真や実地インタビューなども交えながらその生涯や人となりを解説していくので、非常に説得力がある。とはいえ、最後にちょろっと書かれてはいるものの、絵画の意図を官辺に判断するのは難しい。とりあえず、マグリットが「不思議の国のアリス」が大好きらしいということ、そしてウンコを詩人の頭にぶっかけたということはよくわかった。2017/10/15
夏
31
マグリットの美術本。マグリットの人生や、マグリットの年ごとの代表作なども載っている。この本ではマグリットの『光の帝国』という作品がキーワードになっている。この題名の作品は27点もあるらしい。夜の暗闇の中、街灯で照らされた家や水面。闇夜に浮かび上がる木々。けれど空は明るく、まるで真昼のよう。この作品のように、マグリットは昼のような明るい部分と、夜のように暗い部分が合わさった芸術家だ。誰しもそのような二面性があると思うが、彼はそれを芸術に昇華した。マグリットの芸術に関して、もっと学んでみたい。★★★★☆2024/01/30
春ドーナツ
16
マグリットの作品は私にオブセッションを植え付ける。午睡の夢で再会することになるだろう。お気に入りをひとつ紹介します。「『ラリー』毛皮店サミュエルの1928年冬用カタログ」です。彼はグラフィックデザインの仕事もしていました。「スター」という名前のコートをまとった女性のイラストには以下の「解説」が添えられています。「彼女が世界を全く安全に創造した。我々の夢は、その世界をコートと同様に守ることである」 「時代」の息吹を全身に浴びる。クーラーの風と共に。喫茶店にて。2018/07/16
りり
16
10代のころから、何故だかマグリットが好きなのです。いくつかの作品と波長があうと言うか。私の好きな、いくつかの絵を見ると、「何て正直というか、素直な人だろう」と勝手に思っていました。この本を読んで、やはり私が思ったとおりなのが解ったのが嬉しい。彼は彼の心をひどくまっすぐに描いているのだ。見る人にはちょっと親切ではないけれど、絵は人のためだけに描くものではないのだから、見る人は絵の中に彼の真摯な心を見つければいいと思う。2015/02/10
hirocchi
10
図書館)まだまだ知らなかった作品もありますね。マグリットの光と闇について、少し理解が深まったかも。2022/02/23