内容説明
雨、風、雪等、実体のないものを描きたいと願っていた作者が、金子みすゞの詩と出会い、その表現力の豊かさと的確さに衝撃を受けて描いた作品集。
目次
声
瀬戸の雨
人形の木
花のたましい
土
風
明るい方へ
こだまでしょうか
私と小鳥と鈴と
明日〔ほか〕
著者等紹介
寺田由紀子[テラダユキコ]
昭和26年北海道生まれ。昭和46年、武蔵野美術大学短期大学部商業デザイン科卒業後、公民館等で油絵の講師をしながら油彩で公募展に出品。昭和63年頃から水彩の自然の染み、滲みの美しさに魅せられ、水彩画での絵葉書制作、個展発表を続けている。旭川在住
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
20
女性の成長は早い。樋口一葉は24歳、金子みすずは23歳没。大学教育を受けなかった彼女らは、豊かな言葉の世界を広げ、褪せることのない美しい世界を百年後の我々に伝えてくれる。母国語は母により伝られ、豊かな価値観を育む。千年昔の古典詩の絵札の取り合いが映画になるわが国は、言葉と表現方法が豊かな国。一方、言葉はデジタル化され、大量生産され、切り売りされるようになり、一部は差別やヘイトとして抹殺され、無機質な言葉と入れ替わった。言葉は本来そうではない。よい言葉は、絵や音楽になり、部分を表現し、全体を悟らせる。2018/06/06
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
10
18日予定の5年生のブックトーク授業で、担任から3学期に勉強する金子みすゞさんの本も入れて欲しいということで選本。36編の詩。『わたしと小鳥と鈴と』で、背景の絵でどう印象が変わるかを読み比べしようと思います。『 声 / 瀬戸の雨 / 人形の木 / 花のたましい / 土 / 風 / 明るい方へ / こだまでしょうか / わたしと小鳥と鈴と / 明日 / 仔牛(べえこ) / 露 / 月のお舟 / 波 / 白百合島 / 行商隊(キャラバン)/ 蜂と神さま / 草原 / 大漁 / 空っぽ / 薔薇の町 →2020/12/16
りー
10
「打たれぬ土は/踏まれぬ土は/要(イ)らない土か。いえいえそれは/名のない草の/お宿をするよ。(『土』より)」は、今の自分には涙が出るほどありがたかったです。本当に、20代の言葉とは思えない。澄んだ心は人の命を削るのでしょうか。昔は感じなかったのですが、平仮名で“ほとけさま”とひっそり呟くような仏教の香りを感じました。仏教との関連でもまた読みなおしてみたいと思いました。金子みすゞさんの詩は様々な方が描いていらっしゃいますが、寺田さんの水彩画は、ちょうど良い塩梅ですーっと受け取れて良かったです。2019/01/10
みかん@道北民
1
「日本語であそぼ」に出てきた金子さんの詩の美しさにとても気になっていました。美しくて少し切ない雰囲気そのままの絵です。2011/02/26