内容説明
物語は、1952年1月にスエズ運河で起きたイギリス人兵士によるエジプト人警察官の虐殺につづく有名なカイロ大火の描写で幕を開けた―。これらエジプト革命初期の大事件をたどり、急速な社会、政治、および文化的変化を半世紀にわたって目撃してきたエジプトのミドル・クラスの関心と夢に焦点を当てたアラブ文学の傑作。
著者等紹介
マフフーズ,ナギーブ[マフフーズ,ナギーブ][Mahfouz,Naguib]
1911年生まれ。エジプト文壇の第一人者と目される小説家。1988年ノーベル文学賞受賞。カイロの下町生まれ。エジプト大学(現在のカイロ大学)の哲学科を卒業したのち、公務員として省庁勤めをしながら、作品を書き始める。処女作『狂気のつぶやき』(1938年)を発表して以来、今日にいたるまで着々と力作を創作しつづけている
青柳伸子[アオヤギノブコ]
翻訳家。新潟県生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒業。在学中は主に、米文学、英語音声学、英語教授法を学ぶ。卒業後、事務機メーカーに就職。輸出部で、中近東、アフリカ地域を担当。会社勤めのかたわら、ハーヴァード・ビジネス・スクールの事例研究翻訳などに携わる。その後会社を辞め、フリーランスのビジネス翻訳家として独立。同時通訳養成所講師、国際会議事務局員も務め、現在に至る
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感想・レビュー
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きゅー
10
1952年頃の正常不安定なエジプトが舞台。主人公イーサーは政府内の若手人材として権力の階段を駆け上っている最中だったが、クーデターにより免職され、生ける屍のように無為に日々を過ごしている。成功することだけを夢見、他人を蹴落としていた彼が幾つかの経験を経て、自らもたらした没落と向き合おうとして物語は閉じられる。秋になると北方の寒冷な土地から渡り鳥がアフリカに向かって飛んでくる。その重要なルートにエジプトは位置しているという。本書のタイトルが意味しているのはイーサーの恢復、本当の意味での自我の目覚めだろうか。2021/09/29
denken
1
小気味良く一気に読めた。海外文学を読むってのは、その土地に自分たちと同じ人間が生きているってことを確信させてくれる。2010/02/26
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- 和書
- 面白くて眠れなくなる数学