内容説明
召集兵たちは何を思い死んでいったのか。足の踏み場もないほどの屍、洞窟の中で迫りくる死の恐怖、飢えと渇き、同じ日本人への猜疑心…。果たしてあれが、この世の出来事だったのだろうか。地獄と化した沖縄戦を、逃亡兵として生き抜いた著者が綴る悲惨な真実の数々。
目次
改訂版を出すにあたって
赤紙の行方
那覇の朝霧
劫火の洗礼
安逸と焦燥の間
兵隊さん、アメリカーが来たよ
アンマー・デージー
南の涯へ
密かなる謀議
7人の逃亡兵
漂流
運命の島
今宵かぎりの月
囚われの浜
捕虜収容所の日々
断末魔の砦
敗残の人びと
久米島の証言
帰還
傷痕は永遠に
著者等紹介
渡辺憲央[ワタナベノリオ]
1914(大正3)年生まれ。1933年日刊工業新聞社写真部入社。1942年同社退社の後、『ベースボールニュース』の専属カメラマンとしてプロ野球界の写真撮影に従事。1944年応召。1946年復員。ワタナベ写真スタジオを経営、現在に至る
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感想・レビュー
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1131you
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文中に著者の思想などが強く出ていると読みにくいことが多いがそういったことはなく淡々と記述してあり読みやすい。上官が嫌な奴で…みたいな話はあるが個人の体験話程度のものでこちらの考え方で読ませてくれる。 沖縄戦が始まる前の兵隊の話は知る機会がなかったので興味深かった。前半の日常の平穏な話が余計に後半の惨劇の生々しさを感じさせる。 著者が収容された後の沖縄戦末期の様子が証言を元に記述されているがこの部分が誰のいつの証言なのかもっと明示してくれてたらもっと良かったと思う。2023/12/19