内容説明
戦争ごっこって何だったんだろう。
著者等紹介
長谷川集平[ハセガワシュウヘイ]
1955年兵庫県生まれ。1976年『はせがわくんきらいや』で第3回創作えほん新人賞。1990年『見えない絵本』で第20回赤い鳥文学賞。1992年『石とダイヤモンド』『鉛筆デッサン小池さん』で第14回路傍の石文学賞。2007年『ホームランを打ったことのない君に』で第12回日本絵本賞。絵本、小説、評論、翻訳、作詞作曲、演奏など多様な表現を試みる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tokotoko
37
ちょっと季節が早すぎる・・・と思いながらも、表紙の「ダダッ ダダッ ダダッ」にどんな物語があるのか知りたくなって借りました。絶版本の復刻版のようです。戦争が子ども達の遊びの中に入りこんでいたころのお話です。平和を知る私達には、何て悲しい遊び・・・と思えます。でもこの子供達にとっては、戦争の結果が悲しい、悔しい・・・そんな思いでいっぱいだったんだろうなぁ。この夏の続きを、ダダッ ダダッ の続きを、今、生きているんだって思うと、つまらないことで争うもんかー!っていう気持ちがふつふつと湧いてきます。2016/03/16
ヒラP@ehon.gohon
18
終戦から70年経った今、この絵本が復刊されるのは現代への問いかけのように思います。 戦後を引きずっている頃は、戦争体験者の武勇伝と悪気のない戦争ごっこが流行り、漫画の世界にもその爪痕が残っていました。 生きているからこそ語れる武勇伝、敗戦国だからの戦争ごっこ、いつかそういう時代は遠ざかり、新たな社会危機が続発しています。 長谷川さんは決して好戦的な作家ではなく、憲法改正の議論への投石立ったのでしょうか。 作中のさとるが何を考え、どのように育っていったのか、気になりました。2016/05/13
遠い日
15
戦争ごっこを通じて見えてくるもの。戦争をするからには勝たなくてはならないということが、今からみれば悲しいことだし、やりきれない。でも、戦後すぐの時代の子どもたちの心にも、もやもやとした割り切れないものが滲んでいる。長谷川さんのあとがきには、作品で抑えた分だけの熱がこもっている。2016/03/28
アキ
13
「夏がきた(羽尻 利門)」に図書館で出会えず、同じ絵本書架で目に入ったその題字。「来た」はずが、もう「終わり」かと思いながらも作者名に促されるように借り出し。描かれていたのは、戦闘での勇ましさを子どもに語りたがる元兵士の大人と、「戦争ごっこ」に興じる子どもたちのいる夏の一日。奥付を見ると、今から35年前の初版本のよう。人も世も移りゆく果てなく止めどない流れに、句読点を打つように訪れる夏。少年の日への郷愁、亡き人への思慕、日本の辿った道への感慨…いろんなものがないまぜになった夏。その夏がゆく。2017/08/17
majiro
10
心に忍び寄る、戦争を美化する巨大な嘘、かー。しっかり受け止めないといけないよね〜。2016/04/09