内容説明
「おねえちゃんいつおよめにいくの」「もうすぐよ」おねえちゃんがやさしくなった。ごはんをよそってくれました。家族に流れる、ささやかながらもあたたかい暮らしの情景を、ノンフィクション作家の森崎和江が綴り、絵本作家・太田大八が、見る者の共感を引き出す絵にまとめた伝説的な一冊。
著者等紹介
森崎和江[モリサキカズエ]
1927年生まれ。17歳で単身九州へ渡り、1947年、福岡県立女専を卒業。1950年、詩誌『母音』同人となる。1958年、筑豊の炭坑町に転居し、谷川雁、上野英信らとサークル交流誌『サークル村』を創刊。1959~61年、女性交流誌『無名通信』を刊行
太田大八[オオタダイハチ]
1918年生まれ。幼少期を長崎県で過ごし、小学生の時に東京に移る。多摩帝国美術学校図案科卒業。幼児雑誌や書籍の挿絵を多く手がける。1955年日本童画会賞、1958年小学館絵画賞、1969年国際アンデルセン賞国内賞、1980年国際アンデルセン賞優良作品賞など、数多くの賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiaki
38
『だいちゃんのうみ』にも似た太田大八さんの絵に惹かれて。とある漁村で花農家を営むひろしの家の暮らしには、いつも家族の他、自然とご近所さんたちが馴染んでいて、人とのつながりの温もりを感じます。今の私たちの暮らしには恐らくない風景。とてもほっとします。2020/11/20
みさどん
23
この本にあるような慈しむ姿勢がある日々は、充実した毎日だ。教育など何も考えなかった、酒を飲み喧嘩をしていたという親の話をローカルラジオ番組で聴いたばかりで、違うなあと思ってしまった 笑。くらすためのたくさんの動きがあって、こんな中なら子どもは健やかに育つはずだな。2025/01/14
ツキノ
17
訪問販売のみで発売された絵本の復刊とのこと。「五感のえほん」シリーズの1冊。漁村のある家族の日常の断片が描かれている。市場に朝早く行ったり、年の離れた姉と会話したり、秋と春の2回、地域で大掃除したり。パステルで描かれた絵が素晴らしい。短い文章にもしみじみする。2015/08/09
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
15
とある海辺の町の、お父さん、お母さん、お姉ちゃん、ぼくの四人家族に流れる、ごくありふれた日常を描いています。昭和を感じる絵と内容。高齢者の方々は懐かしさを感じてくれそうです。内陸の町なので、絵本のように海は身近にかんじませんが郷愁はとても強く感じられます。 2020/05/17
ヒラP@ehon.gohon
11
とても懐かしい感じのする漁村の生活です。 とても温かみのある家族の生活です。 朝早くから始まる一日は、とても大変そうですが、当たり前の こととしている人々。 ゆったりと過ぎていく時間が感じられます。 同じ場所も、今訪れたら様変わりしているのでしょうね。 「くらす」というタイトルをしみじみと考えました。 何だか、いろんなものに追われたり追っかけたりしていて、自 分には「暮らし」はあっても「暮らす」という感覚が薄らいでしまっているのに気づきました。2015/08/27