感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
131
甘いねぇ。何度読んでも甘い。しかしそれは決してイヤな甘みではなく、飽きのこない甘みだ。「おとといは兎を見たわ。きのうは鹿。今日はあなた」 このセリフを忘れることはないだろう。そして丘の上に立つジュリーのイメージは私の胸の中でモネの「日傘の女」に重なる。大好きな絵です。さらにエドナ・セント・ヴィンセント・ミレーの詩「昼下がりの丘にて」、私はこの詩をこの本で初めて知った。 2015/04/11
茜
106
ビブリア古書堂の事件手帖3で扱われた作品ということで読みたくなりました。印象に残ったのは240年後の世界から来たというジュリーの言葉「おとといは兎を見たわ。きのうは鹿、今日はあなた」こうしてジュリーとマークは交流を深めていく。そして父親が亡くなりタイムマシンの消耗が激しくあと一度しか使えなくなってしまうとジュリーはマークに愛していることを告げてそれきり現れなくなってしまう。ジュリーは一体どうなったんだろう?と思っていたらある偶然の発見で思いがけない伏線が回収された時の感動はちょっと震えてしまいました。2022/02/17
☆よいこ
105
名作古典SF。小さめハードカバー本。薄い38ページ、挿絵あり。ビブリア古書堂で話題になり、復刊ドットコムから出されたもの。▽ある夏休み、44歳のマークは田舎町でひとり退屈に過ごしていた。散歩中、丘の上で出会った若い女性と恋に落ちる。ジュリーと名乗ったその女性は、タイムマシンに乗って240年後の未来からやってきたと言う。▽ハピエン2022/09/02
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
64
(2024-111)【図書館本】妻が急用で行けなくなり、一人で休暇旅行を過ごす事になった主人公。そこで出会った不思議な若い女性。澄んだブルーの瞳にたんぽぽ色の長い髪。彼女はなんと240年先の未来からタイムマシンでやって来たという。そんな馬鹿な話はあるわけ無いと思いながらもその娘に会うのが楽しみになる。タイムトラベル物だからSF小説なんだろうけれど、素敵なファンタジーであり、恋愛小説でもある。たった40ページの本だけど、読み終えて幸せな気持ちになりました。★★★★2024/08/14
紅香
47
いつまでも捉えて離さない。マークの目線で描かれた時空を超えた永遠の愛の物語。。描かれていないジュリーの目線を軌跡で辿ると胸が苦しく切ない。いくつもの憶測。捨て身で飛び込んだ一点の座標。その波紋。リスク。マークの妻の存在が果たして誰であったか。見えない未来。時間のコンセプトを罪悪感とともに過ごした年月。彼の心がどこに行ってしまうかの不安。そして再びたんぽぽ娘は未知なる過去へ投身する。。くるくる回る安堵から程遠い。本を閉じても終わらない。永遠に消せないLOVE STORYの森に再び迷い込んでしまった気がする。2014/05/12