内容説明
おばの館へ向かう途中、涼子と哲文がたどり着いた古い洋館。そこにはまだ見ぬ恋人を待ち続ける美しい少女・波路がいた。館では召使いが失踪し、不可思議な出来事が頻発。橡家の遺産を巡る歴史の渦に巻き込まれた人々の運命は―。『崖の館』『水に描かれた館』『夢館』に続く“館”三部作・姉妹編。幻の遺産を受け継いだ一族と館を巡る伝説の物語。
著者等紹介
佐々木丸美[ササキマルミ]
1949.1.23~2005.12.25。北海道当別町出身。北海道立当別高校卒。北海学園大学法学部中退。1975年、「二千万円テレビ懸賞小説」に佳作入選した『雪の断章』(講談社刊)でデビュー。同作はベストセラーになり、後に斉藤由貴主演、相米慎二監督で映画化された。物語同士に何らかの関連性を持たせ、奥行きがある独自の作品世界を築きあげた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミントント♪
19
復刊本でようやく読めた、佐々木丸美作品『館』シリーズである。館シリーズにリンクしていて読み進んで行くうちにまた他のシリーズを読み返したくなる。彼女の本は輪廻のようにぐるぐる巡る。不思議で美しい繊細な文体に心ひかれる。奥底に潜む人間心理、恋心、邪心、真実、欲望等など何が正義で何が不実か、難解だけど興味深い。ファンタジーでミステリー。幾重にもかさなった不思議、真相心理、仏教なども絡めてありおもしろい。謎解きを残し新たな結末の物語がもう読めないのが残念。さて、ではもうひとつの伝説シリーズ『榛家の伝説』も読もう。2012/03/13
ドシル
10
若干もやもやする終わり方。佐々木丸美さんの館シリーズ番外編第一作。二作目の榛家の伝説につながるのかと思ったけどそうでもない。もやもやしながらも、つい引き込まれる非現実的な佐々木丸美ワールドではありますが。純文学的な文体や、形容の仕方など文章というか日本語の美しさは秀逸。しかし、館シリーズ番外編は本来三部作の予定だっただろと思うと、二作で終わったことが悔やまれる。2016/10/01
mutuki
9
館シリーズの4作目なのかもしれないけど、 ここからまた過去へ未来へ時空を飛び越えて いろいろな不思議が解き明かされている感じ。 丸美さんの小説は一作読むと次から次へと 読みたくなるし、読み返したくなるし、 とにかく前作揃えたくなる。2018/05/11
mabel
8
1982年の復刊。館三部作の姉妹編1冊目。佐々木丸美さんの作品って、生まれ変わりも含めて多くの作品で登場人物や出来事が巡り巡って繋がっていて、なんだか次へ次へと読まずにはいられない。2015/09/05
tow
8
「私はずるいのよ。哲文君が他のことに気をとられてかまってくれないと吹原さんが恋しくなるんだわ。結婚したら忘れる。自信ある」ここ、大好き(笑)2015/08/19