内容説明
静かな夜、ひとりぼっちのユリアのもとに「夜のパパ」がやってくる。お父さんのいないユリアと、石の本を書いているちょっと変わった「夜のパパ」、血のつながらないふたりの心あたたまる交換日記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒラP@ehon.gohon
13
未婚の母親が、病院の夜勤の間娘を独りぼっちにしないようにと雇った夜のパパ。 成長期の女の子と「パパ」 の関係はとても純粋なのですが、この設定自体が子どもたちへの問題提起に思えます。そして仲を取り持つようなペットのふくろうが、物語に不思議な色付けをしています。 父親の存在を疑う友だち、親子というよりも仲間のような二人にこの先何が起こるのか、続編がどうしても気になってしまいました。2018/08/15
マッピー
10
看護師のお母さんが夜勤をしている間、ユリアのいる家で夜を過ごす「夜のパパ」。「夜のパパ」は、警戒しているユリアの心を少しずつ開けていきます。二人は一緒に夜空を眺めたり、散歩したり、お話をしたり。学校の友達とうまくいかないユリアは、「夜のパパ」と交替で日記を書くことで自分の心を整理して、悩みを昇華していく。母とユリアの関係は書かれていない。学校のユリアと夜のユリア。じんわりと心に沁みる作品だけど、今の子どもたちに伝わるかな。それとも寂しい今の子どものほうが、感じる部分が多いのかな。2018/12/24
ぐるぐる244
8
【図書館】ハラルド・グリーペのエッチングのような挿絵が合っている。アパートとして部屋つきヨットを借りようとしたり(結局それはボートのように小さな部屋だった)、部屋を借りる時にあずかったフクロウのスムッゲルや月下美人。エピソードの一つ一つに魅力がある。ユリアはオープンサンドを食べてすぐに、かごいっぱいのペストリーを食べたり、よく食べる。夜読んだのでお腹すいて困った。2020/05/14
twinsun
4
夜にはすることがなく闇に包まれ目に見えない何かが支配していた頃の物語。「トムは真夜中の庭で」、「かっこう時計」、など他にも名作を思い出す。母子家庭、夜勤、夜の保育士という今を先取りした舞台設定に夢の世界が大きく広がり子育てを世界で共有する意気込みを感じるような作品で等身大のあしながおじさんが次世代に受け継がれる幼少期の思い出を綴っていく。自分の幼少期の記憶に未来から足跡を残してくれるような余韻が残った。 2023/04/28
timeturner
4
子供の本とは思えないような、不思議に静かな空気をまとった本だった。子供と大人の良さをあわせもっているユリアがとてもいい。フクロウもいい味だしてるし。しかし、今の時代には考えられない設定だよなあ。2016/10/15