出版社内容情報
三島由紀夫の文学、思想、行動を包括的に検証した決定版批評集。エッセイでは著者自身の三島体験、作品論では『豊饒の海』四部作を中心に、その構造と思想的展開を緻密に分析。行動論では、映画への出演、政治的発言、東大全共闘との対話などを多角的に考察。又、故中上健次氏との1985年の対談を掲載し、巻末には、戦後の日本とイタリアを代表する文学者である三島とパゾリーニの架空の対話を描いた哲学小説を収録。異なる文化圏で似た運命をたどった二人の邂逅を通じて、文学と思想、歴史と偶然が交錯する想像空間が展開される。三島理解の新たな扉を開く1冊。
【著者略歴】
四方田犬彦(よもた・いぬひこ)
1953年生まれ。映画誌・比較文学研究家。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。明治学院大学教授として長らく教鞭を執り、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学、中央大学校(ソウル)、清華大学(台湾)などで、映画史と日本文化論を教える。『月島物語』で斎藤緑雨文学賞、『映画史への招待』でサントリー学芸賞、『モロッコ流謫』で伊藤整文学賞、講談社エッセイ賞。『ソウルの風景―記憶と変貌』で日本エッセイスト・クラブ賞。『白土三平論』で日本児童文学学会特別賞。『日本のマラーノ文学』『翻訳と雑神』で桑原武夫学芸賞、『ルイス・ブニュエル』で芸術選奨文部科学大臣賞、『詩の約束』で鮎川信夫賞受賞。主な著書に『パゾリーニ』『零落の賦』などがある。
【目次】