出版社内容情報
ベールに包まれた父親の正体、一高・東大時代の交遊録、戦時中の大陸での諜報活動、怪人二十面相との驚くべき関係……。乱歩研究の第一人者が描く、名探偵明智小五郎の知られざる生涯!
内容説明
謎に包まれた出生の秘密、一高・帝大時代の暮らしぶり、乱歩との邂逅、そして二十面相との秘められた関係…名探偵が自らの生い立ちを独白する。
著者等紹介
平山雄一[ヒラヤマユウイチ]
探偵小説研究家、翻訳家。1963年生まれ。東京医科歯科大学大学院修了。歯学博士。日本推理作家協会、ベイカー・ストリート・イレギュラーズ、日本シャーロック・ホームズ・クラブ、「新青年」研究会、各会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
87
「この期に及んで、僕の話など聞いて、何になるというのです?」六十歳を過ぎた明智小五郎は、そうして過去を語り始めた。自らの容貌に関わる出生、幾多の事件に潜んでいた因縁、妻文代、小林少年、怪人二十面相。彼が語った事が事実で有るならば、虚と実は入り乱れ、境界など失せてしまう。そして気付かされるのだ。己の無知と蒙昧さに。あまたの事件を小説として発表したあの大乱歩、その乱歩さえも知りえなかった、書かなかった明智小五郎が此処に居た。2019/01/18
keroppi
49
明智小五郎様、貴方の活躍は、江戸川乱歩先生の著書で断片的に知っておりましたが、この様に、貴方の人生をお聞きする機会があろうとは思ってもみませんでした。しかも、お父上の事、関わりのあった方々の事、驚くばかりです。また、日本の歴史にも深く関わられていて、まるで「フォレスト・ガンプ」みたいですね。途中、怪人二十面相の回想が挟まれるのは何故だろうと思っていましたら、最後に理解しました。さすが、明智様。何という見事な締めくくりでしょう!乱歩先生の著書で明智様の輝かしい活躍に触れたくなってしまいました。感謝です。2018/02/07
えみ
18
江戸川乱歩の小説好きには堪らない。読んで損はしないと思う。私も以前乱歩集を読破したので、お馴染みのタイトルが出てくる度にわくわくしながら読み進め、かなり楽しめた。乱歩小説の明智小五郎が活躍する話の裏側や話に書かれていない活躍まで、小五郎の回顧談として余すところ無く本人目線で語られている。多少複雑なところはあるが、最後まで考え込まれていて読者へのサプライズも忘れていない。小五郎と家族の話は大胆で、元は小説の中の人物だからこそここまで夢の共演が実現できたのだと思うと感慨深い。もう一度乱歩集が読みたくなった。2018/08/17
そうたそ
18
★★☆☆☆ 明智小五郎の生涯を小説の形で描いた一遍。どこかで見たことのある名前、と思ったら集英社文庫で刊行されていた「明智小五郎の事件簿」を監修していた人だった。本職は小説家ではないのだろうが、違和感なく読むことができた。驚くべきはその知識の豊富さ。ファンであれば、楽しんで読めること間違いないだろう。ただ、どうも個人的には個々のエピソードが断片的であるように思われ、さほどのりきれなかった。2018/06/02
スイ
13
老年の明智小五郎が元警官に語る、秘めてきた数々の過去!という、つまりは二次創作。 ものすごく気合の入った二次創作。 明智小五郎と江戸川乱歩がどちらも存在して、乱歩は明智に聞いた話を書いたという設定で、乱歩だけでなく虚実様々な人達が登場し、実際の事件と作中の事件が交錯していく。 よく練られているなと思うし、「はいあの島来た!」「はいはい駅のあれね!」等、ニヤニヤしながら読むのが楽しかった。 幼い頃から乱歩大好きとは言え、未読もまだまだあるし、忘れてしまっていることも多く、乱歩以外のことについては、2018/04/12