出版社内容情報
季節の変化は匂いでわかるし、料理のできあがる過程は音の変化で楽しめる。感性の描写が得意な著者・三宮さんの文には身の回りの様々な情報を全身で感じ取るヒントがちりばめられていて、感じることの楽しさが伝わってきます。本書のタイトルは『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著)へのオマージュが込められています。「知ること」は「感じること」の半分も重要ではない。お子さんと一緒に感じることを楽しんでください。
内容説明
感じて知ることで、豊かな世界が広がっていく。4歳のときに「光とさよなら」した著者が贈る、感じて育つことの大切さを伝える珠玉のエッセイ。
目次
足の裏のアンテナ
「雨を聞く」時間
匂いが教えてくれるもの
豊かな音の聞き方1 細かく聞けばキッチン・シンフォニー
豊かな音の聞き方2 「大きな耳」で景色を聞く
静かな時間を楽しむ
本物に触る「姿」から「背景」へ
すてきな「初めて」を
「集中の種類」を意識してみよう
「錯視」ならぬ「錯感覚」
「失敗」も「間違い」もしっかり感じる
「かじる」の勧め あとがきに代えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
87
4歳でシーンレス(目が見えなくなった)三宮さん。残った四感をいかに磨いて生活を楽しみ奥深いものにしていったのかが、易しい言葉で書かれています。目で確かめたら触ってみる、嗅いでみる、味わってみる、聴いてみる。傘の内側を触ると雨の丸さが分かるってちょっとワクワクする。目が見えることでないがしろにしている感覚が多いと改めて思う。見えているつもりで実は見えていないこと。わかろうと思えば声のトーンで分かるのに笑顔にスルーしてしまう目の前の人の気持ち。年を取ると鈍くなる事が多い。目や耳は衰える。楽しみかたはまだある。2022/05/05
けんとまん1007
76
人は視覚にかなり頼って情報を得ている。その結果としてだろうが、他の感覚器官で情報を得る能力が、ある意味、発揮されていないと思う。そんなことを考える1冊になった。目を瞑って音に耳を澄ますことがあるが、脳裏に浮かぶ世界がクリアになることがある。同じように、触覚(手触り、風、足の感触など)に意識を集中すると、似たようなことがある。視覚に頼ると、人は、見ているようで見ていないことも多い。望ましいのは五感を総動員して、丁寧に感じとることだと思う。2023/02/16
とよぽん
63
読友さんの感想を読んで。三宮麻由子さんのことを今まで知らなかった! 4歳の時に完全に視力を失ってからのご自分の状態を、シーンレス(風景がない)と自ら名付けたという賢明さに驚いた。そして、あらゆる物事に「何だあ?」と興味をもって接していくうちに、自分なりのシーンを思い描けるようになったそうだ。そんな、「感じる」ということを大切にしている方。視覚に障害をお持ちの方に音訳ボランティアをしている私にとって、まさに目を開かせられた著書。2022/06/22
ネギっ子gen
58
4歳のときに目の手術によって「光とさよなら」した著者による、感覚を磨く体験を楽しむヒントが満載のエッセイ集。タイトルは、あの『センス・オブ・ワンダー』から。<「感じる」ことのほかにもう一つ、私は「何だろう」も大切にしています。手に触れたこれは何だろう? あの声は、あの音は、この味は、さっきの匂いは何だろう? この小さな疑問は、私たちが広い世界へ歩み出し、素晴らしいものや人に出会い、面白いことを体験し、豊かな日々を楽しむチャンスをくれるのです。だから、「センス・オブ」のあとには「何だあ?」>を入れた、と。⇒2022/05/19
がらくたどん
57
4歳で中途失明された著者。点字図書館の先天盲の職員さんは中途失明の方と比べて自分達は見えていた記憶がないので世界の捉え方を再構築する必要も不安もないが視覚の記憶ってどんなかな?とは思うと話しておられた。4歳だと生活は徐々に視覚優位になっている年頃。明るくサラリと書かれているが幼児なりの混乱と親御さんにはそれを上回るご心配や葛藤があったのだろうと「何だあ?」と世界を精一杯感じて育ってきた道程を祝福したくなる。視覚は感覚器の頼りになるが「俺様」なガキ大将なので、たまに目を閉じて他の感覚に出番を作ってやりたい。2022/05/14
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