1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
116
童話シリーズだが、大人も必読。難民~自国を捨て、厳しい道を通って、新たな大変な困難が待ち受けている他国での暮らしに向かう人々の、その中でも幸運な人達の辿った過程が描かれる。ホロコーストを起こした国が、東ドイツ出身の女性首相によって希望の行先となった。歴史は巡る。しかし、先日、NHKの特集で観たシリア難民の女性が否応なしに身体を売らなければ生活できない現実に、特に女性のその後の厳しさを思い知らされた。さらに、彼らのように国から出ることもままならないウイグルのような人達もいるのだということを忘れてはならない。2020/07/16
とよぽん
49
福音館書店、世界傑作童話シリーズとはあるが、大人が読んでも十分読み応えのある物語だった。1939年ドイツ、1994年キューバ、2015年シリア、戦争や内乱、紛争などにより故郷から離れざるを得なくなった3人の少年少女。それぞれの過酷な旅程を、読者も一緒に悲しみや屈辱や暑さ冷たさ、危険、理不尽さなどを共感しながら辿っていく読書の時間だった。絶望的な危機を何度もくぐり抜けて、そしてラストに見えてきた「明日」。読み終わって、難民問題の果てしなさを思う・・・。2020/04/26
Nobuko Hashimoto
43
強くおすすめ。3組の難民一家の逃避行が、順番に、少しずつ進んでいく。時も場所も違うが状況が重なる場面がたくさんある。1939年、ナチの迫害を逃れてキューバを目指すユダヤ人一家。1994年、貧困と政治抑圧から逃れるべく、キューバからアメリカへと脱出する一家。2015年、内戦が激化するシリアからヨーロッパに逃れる一家。直面する苦難がリアルで怖くて辛い。でも読み進めずにはいられない。そして3つの物語が最後に繋がっていく妙!ブログに詳しく。https://chekosan.exblog.jp/30318844/2020/11/27
たまきら
31
時代も生まれた国も違うけれど、生まれ故郷を捨てざるを得なかった三人の子供たちが主人公です。その過酷な旅は、事実の寄せ集め。信じられないほど多くの人々が故郷を離れざるを得ない状況が続いているのです。読後涙が止まりませんでした。素晴らしい本ですが、ぜひ受け入れる側の子どもたちのお話も作ってほしいと思いました。2020/12/07
がらくたどん
28
ご感想に惹かれて。『貸出禁止の本をすくえ』の作者さん。こちらはYA棚。思いつめた表情の子どもたちの行進が訴えるのは難民問題。居住している田舎町でも公立小中には海外にルーツを持つ子供たちが確実に増えている。職場でも「お母さんは日本語が話せないので」とお子さんが事務手続きに同伴するケースが増えた。正規の移民の方でさえ進学・医療・就労に戸惑いが多いと聞く。難民はもっと火急なのに対応は如実に政治的になる。しかも同胞の疎開児童すら迷惑がった歴史のあるリソースの再配分が不得手な国だ。自分事と受け止めるのは大人からかな2021/11/28