出版社内容情報
虫やカエルのように自分もどこかに行けたらと、のげしは願っていました。おひさまは、のげしの願いは叶うと伝えます。そして…。
著者等紹介
甲斐信枝[カイノブエ]
1930年、広島県に生まれる。故清水良雄氏(光風会会員、童話雑誌“赤い鳥”の画家)に師事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kawai Hideki
58
カエルやアリをみて、「好きなところへいけるからいいなあ」と羨ましがるのげし。我が身は地面に立っているだけで、どこにも行けないと嘆く。しかし、おひさまは優しく「私の光を一生懸命吸い込んでいれば、きっとどこかへ行けますよ」と諭す。のげしは、言われた通り光を吸い込むが、一向に動ける気配がない。諦めかけたその時、白い綿毛が…。地面に縛られたのげしの嘆きが、故郷の母の嘆きと重なって見えた。私は綿毛として、どこまでも飛んで行こう。2018/08/16
東谷くまみ
43
裏表紙に描かれた、お陽さまの光をさんさんと浴びてまた新たな命を抱えて飛び立つ準備をしている綿毛たちが本当に愛しい。春の空気に満ちる命の息吹が甲斐さんの絵からバシバシ伝わってくる。春の風に吹かれ、旅立つ綿毛たち。清々しい空気とふんわりとした日向の匂いまで感じるようだ。最後のページに描かれたカエルや虫たちが命を祝福しているようで、思わず笑みがこぼれた。甲斐さんの絵、やっぱり大好きだなぁ🥰🥰🥰2021/04/19
れっつ
35
春から秋にかけ、道端に咲く、茎の長いタンポポのようなのげし。ある時のげしは思いました。わたしも、カエルやアリやちょうちょたちのように、自分で自由にどこかへ行ってみたいと。するとおひさまは言います。「わたしのひかりをいっしょうけんめいすいこんでいれば、きっとどこかへいけますよ」来る日も来る日もそれを守ったのげしは、やがて、とうとう…!ずっとそばに寄り添っているカエルが可愛い♡。甲斐信枝さんの素朴でリアルな優しい絵、隣町の図書館ではこれがYA棚にあり、たしかにティーンズにこそ読み語りたい春の和みの1冊です✨2019/03/21
anne@灯れ松明の火
29
新刊棚で。丁寧に描かれた写実的な絵と優しいお話。人は誰でも他人がよく見える。あの人はこれができて、いいなぁ。この人はあれができる、羨ましい。私は真面目に頑張っているのに、なかなか報われない……。のげしの願いは叶うだろうか。恥ずかしながら、のげしを知らなかった。たんぽぽかな〜って。子どもにとっても、のげしという花を知り、理解するきっかけにもなるだろう。2015/11/18
とよぽん
25
甲斐信枝さんの絵本。空き地の雑草を5年間追跡した絵本もよかったが、これは大地から離れられないのげしが、種になってどこまでも飛んでいくお話。最後のページの絵がとても素敵で、植物に寄せる作者の愛情が伝わってきた。2019/04/04