出版社内容情報
戦時中アメリカにいても日本にいても、自分を外人だと感じた著者。ただ、その頼りない気分が、今の自分を支えているという。そう、本当はだれも外人なのではないだろうか。
著者等紹介
鶴見俊輔[ツルミシュンスケ]
1922年、東京に生まれる。15歳で渡米、ハーバード大学卒業後、戦時交換船で帰国。哲学者
佐々木マキ[ササキマキ]
1946年、神戸市に生まれる。マンガ家、絵本作家、イラストレーター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
99
アメリカという国は、違う所から来た人たちがお互いに約束をして、その約束を守って国を動かすことを理想としている。ただ、そこに原住民と奴隷でモノとして扱われたアフリカからの黒人が含まれていなかったことが、今もアメリカの大問題として残っています。私は、アメリカにいる時外人でした。戦争中の日本に戻ると日本人を外人と感じて毎日を過ごしました。自分の底に向かって降りてゆくと今も私は外人です。地球の人口は72億人。日本国民の人口は1億2千万人。日本本位で考えず、地球に住む人々として考えるべきではないでしょうか。2022/04/02
☆よいこ
83
分類289。哲学者の鶴見俊輔さんの自伝絵本。15歳で渡米し、大学で学んでいた時期に戦争が始まった。FBIに捕まり移民局付属の留置場内で卒論を書きハーバード大学を卒業した。その後「日本が戦争に負ける時、負ける国にいたい」と思い、交換船で日本に帰国する。徴兵され翻訳の仕事で従軍したが、生き残った著者はどうして自分が生き残ったのか理由がわからない。その頼りない気持ちが今でも自分を支えていると語る。「日本人本位に考えるのでは、わたしたちは地球上に住みにくくなります」▽佐々木マキさんのイラストがいい。2015年刊2024/09/20
♪みどりpiyopiyo♪
76
米国で育ち、米国の大学生だった時に日米開戦を迎えた日本人が、当時の体験を淡々と語る静かな絵本です。■戦争って、こうして始まり、こうして進み、こうして終わるけど、個人の心の中では いつまでもいつまでも 区切りが付かないものなんだなー。■絵は佐々木マキさん。淡く柔らかな水彩で描く心象風景は、現実味が遠く遠く、著者の心許なさを映すようで胸に迫ります。(初出 1995年 月刊たくさんのふしぎ)2017/07/08
yomineko@鬼畜ヴィタリにゃん💗
58
読み友様からのご紹介本です📚米国では英語が話せないと、考える力すらないと考えられていた。私は、米国では日本人だった。そう、外人だった・・・考えさせられる作品でした。2025/08/23
ぶんこ
51
著者が若くしてアメリカに渡りボストン大学を卒業。その間に開戦し収容されて、収容先のトイレで卒論を描いたという意志の強さに感服。交換船で帰国後徴兵されるが闘病中に敗戦。敵国のアメリカを憎むことはないし、自分は日本でも外人なのかと悩むのが切ない。今の時代「外人」ではなく「外国人」と言うのが正しいらしい。外人と外国人とで私の中での差別はない。自分自身も他国の人から外人と呼ばれようが外国人と呼ばれようが何の変わりもない。「私は外人」と悩む著者はさすが哲学者なのでしょう。2019/07/11
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