出版社内容情報
チョコレートやクッキーの缶に入れといわれても困りますけれど。でもそれが家だったらどこへだって入れますよ。どろぼんはどろぼうの天才。どろぼんは「もの」の声を聞くことができる。どろぼんは絶対に捕まらない。これは、ぼくがどろぼんから聞いた話。今まで盗んできたもののこと。その「もの」たちの声のこと。そして、絶対に捕まらないどろぼんが、あの雨の日の午後、あじさいの咲き誇る庭で、どうしてぼくに捕まったのか。
読んであげるなら:―
自分で読むなら:小学高学年から
内容説明
「声」は、いつもむこうからやってきた。ぜったいにつかまらないはずだったどろぼうのはなし。
著者等紹介
斉藤倫[サイトウリン]
1969年、秋田県生まれ。詩人。2004年『手をふる手をふる』(あざみ書房)でデビュー。『えーえんとくちから 笹井宏之作品集』(PARCO出版)に編集委員として関わる。『どろぼうのどろぼん』がはじめての長篇物語
牡丹靖佳[ボタンヤスヨシ]
1971年、大阪府生まれ。現代美術作家。絵画を中心に国内外で作品を発表するほか、絵本や本の装画を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
どちらかというとこの本は、挿絵画家の牡丹さんつながりで図書館で借りてきたものです。しかしながら結構楽しく読ませてもらいました。どろぼうですが被害届が出ないものを盗んでしかも物がいっていることがわかるというはなしで、ミヒヤエル・エンデの小説などを思い出しながら読みました。いい本でした。2018/09/16
シナモン
106
「どろぼんは、そのひとにとって、なくなっても気づきもしないものをぬすむ。そして、そのひとの人生を、ちょっとだけ変えてしまう」私にもなくなっても気づかないものってきっとある。児童書だけどとても奥が深い一冊。散りばめられたイラストも穏やかな色使いでとても素敵でした。2023/09/05
mocha
97
詩人・斉藤倫さんの初長編。ものの声を聞いて、不幸な境遇から助け出すどろぼうのどろぼん。誰にもけっして気づかれなかったどろぼんが、なぜ捕まってしまったのか?警察の取り調べで、驚きの身の上を語り始める…。さすが詩人!言葉のひとつひとつがキラキラしている。「誰かの役に立ちたい」と思うケイサツも道具達もどろぼんも、みんな正しい在り方なんだ。とてもあたたかい気持ちになれた。「よぞら」良かったね。どろぼうがんばってね。2015/12/20
はる
88
とても好みです。予想以上。優しくて温かい。現実的な部分とファンタジーのバランスが絶妙。意外と現実的な部分が強めなんですよね。だからファンタジーの部分に凄く癒される。大人の読者のほうが響くかもしれません。詩的な文章が醸し出す、独特の世界観に引き込まれました。ラストも素敵。2019/06/17
(C17H26O4)
87
忘れさられた物の声が聞こえるどろぼん。どうしているかな。さびしくないかな、よぞらと一緒なら。どろぼんの話を聞けば聞くほど、みんなふわふわとあたたかい気持ちに包まれてしまいます。どろぼんのために一生懸命になってしまいます。どろぼんはどろぼうなのに。やわらかい文章の中にはっと胸をつく場面もあり、生き方について読者に考えることを促します。どろぼんの特別な力はこれからどうなるのでしょう。これからも物たちを助けていくのでしょうか。それとも。どろぼんどろぼんどろろろろ。深い余韻を残してそっと姿を消してしまいました。2019/08/16
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