著者等紹介
平山和子[ヒラヤマカズコ]
1934年、東京生まれ。東京芸術大学美術学部図案科卒業。長野県在住
平山英三[ヒラヤマエイゾウ]
1933年、愛知県生まれ。東京芸術大学美術学部卒業。「落葉美術館」(1989~2004年)を主宰。長野県在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
173
私たちより前に草木は芽吹き春を知らせる。若葉色が少しずつ色合いを変えて夏の陽射しに耐える濃緑が過ぎ去れば、彩り豊かな秋が青く澄んだ空に浮かんでいく。風吹けば舞い降りる一葉、また一葉。紅黄緑のモミジが私の肩から傍らで休む一冊に重なる。黄一色に染まるイタヤカエデがまた落ちてくる。カツラの甘い香りは何処から。心に残るその頁に思い出を綴る頃夕焼けは燃え上がる。大葉と小葉が重なるほどに深くやわらかく切なさと優しさに包まれた季節を終える。霜おりる朝を迎え雪どけの春を待つ。今年も秋を忘れないために落葉を集めようと思う。2022/10/02
seacalf
64
一度は行ってみたい黒姫山。そのふもとの秋景色に惹かれてページを開いたら、もうとりこになった。この季節のウォーキングは林で落ち葉をサクサクと踏みしめるのが楽しみのひとつ。いつもは足早に歩いて、まじまじと見ない落ち葉を一枚ずつ丹念に描く。普段忘れていた美しさに気付かされる。落ち葉を描いていると、小さな起伏に山々のつらなりや丘や森を感じ風の音を聞くという平山和子さん。『ふと、われにかえって筆をおくと、どこか遠いところへ行ってきたような気分になっています』という文章も素晴らしい。思いのほか心が動いたおすすめ絵本。2021/11/25
モリー
56
落ち葉に美しさを感じること、落ち葉の絵を描くところまでは私も作者も同じです。しかし、そこから先に私と作者の大きな違いがありました。以下、引用。「そうして描いていると、いつのまにか、小さな起伏が、山々のつらなりや、丘の森のように感じられたりします。ときには、湖だったりします。風の音や、なつかしい音楽がかすかに聞こえます。私は、しらべを聞きながら歩いたり、立ちどまって景色を眺めたりしています。ふと、われにかえって筆をおくと、どこか遠いところへ行ってきたような気分になっています。」平山和子さんの感性に憧れます。2019/10/05
たまきら
32
ものに美しさを認めるとき、ゆたかな気持ちになりませんか?この本では、平山さんの「こんなにきれいなものがある!」という落ち葉への気持ちがまっすぐ伝わってきます。今年はイラガの大発生があり本当に困りましたが、イラガの毒々しい美しさに、自分はいつも魅了されます。2019/10/02
booklight
31
落ち葉って、一枚の葉に季節が詰め込まれていて、よくみると本当に心を奪われてしまう。そういったものが、森の中に広がっている風景は、これまた幸せの情景でありながら、移り行く名残惜しさに心がいっぱいになってしまう。そんな落ち葉にぐっと引き込まれた平山さん。こんなに落ち葉だけ描いているのは、もはや狂気ともいえるが、その深みまで伝わってくるような絵本。落ち葉の美しさがここに固定されているともいえるし、さらに深さもありそうで、少し怖みもある。2023/11/12