出版社内容情報
「美乃里」と「実」。名前もおなじ小学5年のふたりの「みのり」が、夏、町の小さな銭湯で出会う。ふしぎな出会いと切ない別れ。少女の純愛と心の成長を描く感動の物語。
<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>小学高学年から
内容説明
「美乃里」と「実」―おなじ名前をもつ男の子との、小さな銭湯でのふしぎな出会いと、そして別れ。より深く、よりやさしく、人を知ること、愛することをおぼえはじめたのは、美乃里10歳の夏だった。切なくも美しい純愛と成長の物語。小学校上級以上。
著者等紹介
藤巻吏絵[フジマキリエ]
1972年、東京都に生まれる。実践女子大学文学部卒業。『唐棣(はねず)色の明日』で第11回銀の雫文芸賞最優秀賞受賞。同作品は、NHKFMにてラジオドラマ化された。東京都在住
長新太[チョウシンタ]
1927年、東京都に生まれる。漫画家、絵本作家。1959年、『おしゃべりなたまごやき』(福音館書店刊)で第33回小学館絵画賞受賞。2002年、第37回エクソンモービル児童文化賞受賞。東京都在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
102
交換日記で、意中の男の子が他の女の子を好きだと気づく導入部のうまさに感心した。美乃里は近所の銭湯で、自分と同じ名前の男の子「実」と知り合う。昭和の雰囲気がある銭湯が舞台になっているところがユニークで、木島の湯に浸かりたくなった。銭湯の頑固な親父さんも魅力的な登場人物で、彼と美乃里と実の心の交流が丁寧に描かれている。現実的な物語の中にファンタジックな要素がさりげなく含まれているところが私の好み。小さくてかわいらしい男の子の実は、ラストでどこへ行ってしまったのだろうか? 泣ける結末でした。2014/08/22
mocha
95
たったひと夏で、子どもはぐんと成長する。美乃里の前に現れた見知らぬ男の子、銭湯の頑固老人が見せる優しさ。思春期の入り口に立つ少女がコンプレックスと向き合ったり、淡い恋に胸を痛めたり、夏休みの濃い毎日を思い出させてくれる。とても健やかで気持ちのいい作品だった。2017/07/03
ぶんこ
44
何とも品の良い物語でした。 小学5年生とは思えない程佇まいが美して上品な美乃里さんと実君。 頑固な木島さんや、浴衣を間違えたお婆さんへの、濁りの無い真っ直ぐな視線。 ため息が出るほど素敵な二人でした。 実君の事を思うとシ〜ンとした静けさ、銭湯の森の中にいる気持ちになります。 2015/08/09
はる
40
とても好みの作品です。落ち込んでいた少女が、見知らぬ少年と出会ったことから始まる成長の物語。ノスタルジックな世界観の中、二人の淡い想いが爽やかに描かれています。二人が手伝うことになる銭湯の頑固なおじいさんとのやり取りが微笑ましい。少し切ないけれど優しいラストもとても良かったです。2015/08/05
ワッピー
6
少女期でもとっと特に不安定な時期に起きた出来事。美乃里の淡い初恋は破れ、不思議な少年実との邂逅は、ガンコじじいのいる「木島の湯」への思わぬ縁をつなぐことになった。本当にひと夏で、美乃里は不思議な縁を経て、新しい世界へ一歩踏み出します。鈍いワッピーにはうまく表現できませんが、狭い子供の世界を出て成長する痛みが瑞々しく描かれている気がします。2015/03/31