出版社内容情報
夏休みに父の故郷を訪れたみち夫は、ふしぎな少女とともに、奇妙でおかしな世界に引きこまれて……。方言の魅力と郷愁溢れるファンタジー。(S-30)
<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>小学中学年から
内容説明
夏休み、父のふるさとを初めて訪れたみち夫は、そこでひとりの少女に出会う。バンモチという伝統行事の晩、どこからともなく飛んできた一本の白羽の矢。その謎をめぐって二人の前に、なんとも奇妙でおかしな神様たちがつぎつぎとあらわれる。はたして白羽の矢は、だれが、何のために?…小学校中級以上。
著者等紹介
芝田勝茂[シバタカツモ]
1949年、石川県羽昨市に生まれる。十数年間、子どもたちのサマー・キャンプを企画、実行した経験をもとに多くの作品を執筆する。『虹へのさすらいの旅』で児童文芸新人賞、『ふるさとは、夏』でサンケイ児童出版文化賞を受賞
小林敏也[コバヤシトシヤ]
1947年、静岡県焼津市に生まれる。1970年、東京芸術大学卒業。デザイナーからイラストレーターに転じ、1979年より宮沢賢治の世界を追求した作品「画本・宮沢賢治」シリーズを出版。第13回宮沢賢治賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
56
日本には八百万の神様がいる。神様は唯一無二ではない、大らかな考え方があるって素敵だと思っていたので、この本に出てくるたくさんの神様に違和感を覚えずに済みました。また、その神様たちの人間くさいこと!名前にいたっては(ブンガブンガキュー)って、著者の発想に脱帽。いかにも都会っ子だったみち夫が、難解な方言や、おかしな神様たちを理解していく日々が面白い。心の目を開いていると出会えるのかな。人見知りにみえたヒスイが、強気なしっかりさんになっていくのも面白い。田舎があるっていいな。2016/09/11
はる
48
夏休みに父の故郷にやってきたみち夫は、村の少女ヒスイと出合い、何故か不思議な絆を感じます。ふたりの前に現れたのは奇妙でおかしな神様たち。彼らはある謎を解くように命じるのですが…。懐かしい田舎の雰囲気いっぱい。ユーモラスな神様とみち夫とのやり取りがとてもいいんですよ。ヒスイとの淡くひたむきな関係も微笑ましい。今の季節にぴったりな好編。2016/08/10
myc0
17
人生何度目かの再読。ひょんなことから父方の田舎でひと夏を過ごすことになった小学生のみち夫。少女・ヒスイとある事件に巻き込まれたことをきっかけに、色んな神様に出会う。”茗荷くさい息を吐く神様・ぶんがぶんがきゃー”がインパクトありすぎて、多分一生この本のことは忘れられないと思うの。人間味あふれる神様たちもとても魅力だし、田舎の夏の雰囲気を肌で感じられる作品。どんな心を持つか、で、何が見えてくるかが変わってくる。景色も、人間関係も。きっとこの本もまた読みたくなるんだろうな。2017/08/11
なま
11
母親の1ヶ月の海外出張で父親と二人で過ごさせるのに不安を感じた母が疎遠にしていた父方の実家へ主人公のみち夫を行かせることにする。五尾村(石川県羽昨市余喜地区がモデルらしい)に行った道夫は、先祖を大切にし本家や分家のある土地、田舎ののどかな風景の中ですごし始めると、八百万の神々と出会う事になる。その神々のポップでキュートでちょっと怖い(笑)魅力と、あった瞬間から何かを感じたヒスイという少女との関係は?五尾神社の白羽の矢が飛んできて、神社ごもりをすることになったのは・・・。訛りがすごいけどふるさとっていいな♪2017/05/25
ぱせり
11
見えても見えなくてもそこにいる「存在」を心の目でとらえ(と改まって言うこともおかしいくらい)普通にともに暮らしていく人々がいる。そのことさえ私は、見えなかった。その当たり前さに気がついたとき、神々が一斉に笑ったような気がした。さがしものは、もうすぐそこにある・・・ 2013/07/27