出版社内容情報
第二次大戦のさなか、外国生まれの小人たちを秘かに愛し続ける少女ゆり。いまわしい現実と不安な日々が感動的に描かれています。(S-3)
<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>小学中学年から
内容説明
森山家の末っ子、ゆりには秘密の大切な仕事がありました。それは森山家に住んでいる四人のイギリス生まれの小人たちに、かならず毎朝一杯のミルクを届けることでした。しかし日本は大きな戦争に突入し、ミルク運びは次第に困難になっていきます。…日本児童文学史上に残る傑作ファンタジーです。小学校中級以上。
著者等紹介
いぬいとみこ[イヌイトミコ]
東京に生まれた。2年間保母をしたあと、児童書の編集にたずさわりながら創作活動をした。2002年没
吉井忠[ヨシイタダシ]
1908年、福島県に生まれた。太平洋美術研究所をへて、1936年から37年まで、ヨーロッパで研究。1999年没
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
71
なつかしい物語。だけど初めて読んだ遠い日のことは、すでに記憶にない。読み始めて、こんな話だったのかなぁ、と思いながら、すぐに二世代にわたる子どもたちと、不思議な小人たちの交流の歳月に引き込まれていった。歴史は、戦争は、こんなに人々を非情にするものなのか、と。小人の唯一の食糧であるミルクが、しだいに手に入らなくなるにつれて、疎開中のゆりの悲しみが深まっていくのがつらい。読み終わって突然、そうだこんな話だったと、かつての印象がよみがえってきた。非常に端正な文章で書かれた、ファンタジーの傑作だと思う。2021/05/12
七色一味
46
読破。とある筋にて、小人が出てくる、いいお話はないかとの問いかけに、挙げられていた作品です。が、んー、どうでしょうねぇ。コレを現代の小学校高学年の子が読んで、面白いと感じるかどうか…。もっと((o(´∀`)o))ワクワクやドキドキ感が必要なんじゃないかなぁ。エンディングもなんだか微妙だし…2016/03/26
たぬ
18
☆4 いぬいとみこさんと言えば小学生の時に「ながいながいペンギンの話」と「北極のムーシカミーシカ」を夢中になって読んだっけ。こちらは1959年初版発行、イギリスからやってきた小人たちと森山一家の交流を描いています。時代設定が戦時中メインということもあり、小人の話よりも森山家の戦争中の暮らしや思想に絡む出来事のほうが印象深かったです。小人が森山家に対してわりとドライな面もあるのが良い。続編もこれから読みます。2024/10/12
つきみ
18
福音館文庫10周年記念のカバーに強く惹かれて購入。大人になってから児童書を読む機会はとても少ないけれど、美しい言葉や情景、ゆりの心情や背景の描き方、すべてに胸を打たれ、涙しながら読んだ。現代の子供たちはこういう本にこそ触れるべき。戦争の苦しさや悲惨さの描き方がわざとらしくなく、心にすっと入ってくる。子供たちが自立へと向かうラストもまた良い。続編もぜひ読みたい。2013/03/14
Norico
17
梨木さんが紹介していたので。イギリスの小人だし、床下の小人たちっぽいのかなぁと思ってたけど、そんなことなくて。ハトの弥平が好き。アマノジャキもかわいい。自分も具合悪くなってミルクしか飲めなくなったとき、私はどうするだろう。森下信くんは、戦争が終わったとき、戦時中の自分をどう思うんだろう。2021/05/15