出版社内容情報
ロンドンから田舎に移り住んだ子どもたち4人。彼らは砂の中に棲んでいるサミアドという不思議な妖精に出会います。(C-4)
<読んであげるなら>---
<自分で読むなら>小学中学年から
内容説明
ロンドンから遠く離れた、田舎の一軒家に移り住んだ四人の兄弟姉妹は、ある日、サミアドという、砂の中に住む不思議な妖精に出会います。目はカタツムリ、耳はコウモリ、体はクモのようにずんぐりした妖精は、一日に一回ならば、なんなりと子どもたちの望みを適えてくれるというではありませんか…。小学校中級以上。
著者等紹介
ネズビット,E.[ネズビット,E.][Nesbit Bland,Edith]
1858年、ロンドンに生まれた。熱心な社会運動家、小説家として活躍したが、40歳の時に初めて書いた童話がベストセラーになり、以後、今日まで読み継がれている数多くの優れた作品を書いた。1924年没
ミラー,H.R.[ミラー,H.R.][Millar,H.R.]
1869年スコットランドに生まれた。バーミンガム・スクールで学んだ後、雑誌に挿絵をかきはじめ、やがて力強いペン画で知られるようになった。1899年没
石井桃子[イシイモモコ]
1907年、埼玉県浦和に生まれる。文芸春秋社、岩波書店勤務の後、瀬田貞二氏らと「子どもの本研究会」を始める
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
296
主人公は5人兄弟(シリル・アンシア・ロバート・ジェインにひつじちゃんの愛称で呼ばれる2歳児ヒラリー)。父親の仕事の関係上ロンドンから、とある田舎の海が見える地方へと引っ越してくる。5人はロンドンとは違った田舎の風景に興味津々で、あちらこちらへと冒険の遊びに興じていたが、ある日海岸で砂浜を掘り返していると、中から奇妙な生き物が現れた。それは”砂の妖精サミアッド”だった。1日につき1つ何でも願い事を叶えてくれるが、その効果は日没までしか続かないという欠点をもっていた。2017/05/02
洋書好きな読書モンガー
23
ネスビット2冊目。ダイアナ・ウィン・ジョーンズが読むべき作家と挙げている約100年前の英国児童文学者。今回も自身の伸び伸び奔放に育った子供時代の様な4人兄弟姉妹と坊や計5人の子供達が出て来る。大昔からいるという砂の妖精に出会い1日1つの願いを叶えてもらうが必ずしも幸福とはいかない。逆にいろいろと困った目にも遭い日没に魔法が解けるのを待つ。毎日様々な願いをするが願いを叶える為大変な事件も起きてしまう。妖精にお願いすれば何でもうまくいくわけでは無いという教訓的な物語。2025/04/10
ねむ
19
この福音館古典童話シリーズは、昔父がときどき買って帰ってくれていたのでほとんど読んだのだけど、何冊か抜けていたので穴埋めがてら単行本の方を読んでみた。しっかりした分厚い表紙がなつかしく、オリジナルの外国らしい挿絵とあいまって私のなかの「ザ・本」はこの形だと再認識。お話としては4人のきょうだい(とまだ赤ちゃんのぼうや)が、毛むくじゃらでカタツムリの角みたいな目を持つ砂の妖精に出会い、毎日お願いを叶えてもらうのだけど、いつもうまくいかない…という展開。外国の日常の暮らしが垣間見えて、昔の私も気に入りそうでした2023/07/01
青春パッカパカス
17
所謂ドラえもん型ストーリー(エブリデイ・マジック)の元祖で、児童文学史では外せない傑作。願いをなんでも叶えてくれる異形の妖精サミアドと、彼に願いを叶えてもらうロンドンっ子4人のお話だ。 どんなに素晴らしい願いが叶ってもだいたい手落ちがあって失敗してしまったり、間違えて荒唐無稽なお願いをしてしまったりとコミカルな展開が続く。願いがなかなか嬉しいものにならないのは児童文学ならではの可愛らしさであり、また発表当時(19世紀末)科学が発展したことで「魔法(ファンタジー)」の価値が弱体化したことの表れでもある。2013/06/27
明智紫苑
16
日本のTVアニメ『おねがいサミアどん』の原作になった英国児童文学。日本人の「教養」の一つである『ドラえもん』の原点のような教訓の詰め合わせのような話である。資本主義的な私利私欲で超常現象的な存在に対して「お願い」するのは色々と危険なんだな。それゆえに、この小説は児童文学の古典として現代に残っているのだ。それはさておき、サミアドの名前の由来がまさか堕天使シェミハザ(サムヤサ)のもじりだったとは驚いた。つまりは、この小説は児童向けの「ファウスト伝説」という面があるのだな。2024/06/30