出版社内容情報
夜の闇を走る夜行列車の中には暖かさと人と人との触れ合いがあります。訛りのある会話さえ聞こえてきそうな暖か味のある絵で、夜行列車の旅へご招待します。
<読んであげるなら>4才から
<自分で読むなら>小学低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
192
上野から冬の金沢まで。古き良き、懐かしの夜行列車。今や2時間で着いてしまうその地も、夜を超えるほどに遠い、懐かしの故郷へ。大風呂敷を担ぐ者、出稼ぎから戻る者。吐息白く、別れを惜しみ寄り添う者、もう時間だから行くね。灯る列車を見つめ続けるけれど音は消えていく。網棚に沢山の荷物を載せて、ボックス席で器用に眠り、どんな夢を見ているのだろう。再会を待ちわびて。寝台車両で幼子が目覚めてはまた眠る。眠れずに窓辺を拭い、曇る夜空の雫を見つめる者もいる。久しぶりに逢いたいな。夜が明けるまでは。さあ着いたわ。行きましょう。2023/04/02
Kawai Hideki
87
昭和の時代感が魅力的な夜行列車の旅絵本。上野から金沢まで。字はなく、乗客の列車内での過ごし方をたんたんと描く。子連れが夜泣きで困っていたり、サラリーマンらしき集団が缶ビールで宴会していたり、若い二人がトイレの前で壁ドンして語り合ったりなど。改札、乗車時、夕食時、就寝時、真夜中、明け方、到着前、降車時と、それぞれの登場人物が違う場面でどこにいて何をしてるのかを追いかけるのが楽しい。2014/09/20
へくとぱすかる
62
先ほど読んだ、椎名誠の『絵本たんけん隊』に登場した絵本。1980年の「こどものとも」が初出。それまでの取材期間を考えると、半世紀くらい前の光景だろう。けん引する機関車も、客車・寝台車も、列車そのものも、みんな過去に置き忘れてきて、それを絵本という窓からのぞかせてもらった思いがする。みごとに夜行列車の特徴をとらえ、夜行列車あるあるを生き生きと絵にしている。一度でも乗車した人なら、こんな旅は忘れられない思い出として残っているだろう。時間とともに車両の前方へ視点がかわり、場所も遠くに走っていく趣向が楽しい。2023/05/30
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
62
うーむ、この絵本はいい。どこかで見た事ある名前と絵だと思っていたら『にちよういち』の人だった。あれも良かった。こちらは夜行列車の出発から到着までを文章も台詞も皆無で描いたインストロメンタル的絵本。駅や車内(芝居の舞台上のようだ)に沢山の人間が出て来てごちゃごちゃしているものなので、見る所も沢山あり、眺めて飽きない。子供時代に出会っていたら、しばらく毎日眺めていただろう。駅に着いて駅弁を買っていた人が、次のページでは食べていたりと、小さな部分がきちんとしている。終点到着で終わる。大人も楽しめる。2015/08/11
ぶんこ
61
上野からの夜行列車の様子が描かれていて懐かしい。服装を見ると戦後の昭和3〜40年代でしょうか。旅好きだった若い頃、電車賃と宿泊費節約で夜行列車の座席で寝たこと数回。2段ベッドも数回の経験有り。ゆとりができたら個室と思っているうちに廃止となってしまいました。感想を拝見していると夜行列車の座席で夜をあかすのに驚かれている方多数。私はそれに驚く。これは年配の人には嬉しい絵本かもしれません。著者と、人間に化けた狐の女性、やっと見つけました。情報ありがとうございます😊2023/07/04