出版社内容情報
夜の闇を走る夜行列車の中には暖かさと人と人との触れ合いがあります。訛りのある会話さえ聞こえてきそうな暖か味のある絵で、夜行列車の旅へご招待します。
<読んであげるなら>4才から
<自分で読むなら>小学低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
200
上野から冬の金沢まで。古き良き、懐かしの夜行列車。今や2時間で着いてしまうその地も、夜を超えるほどに遠い、懐かしの故郷へ。大風呂敷を担ぐ者、出稼ぎから戻る者。吐息白く、別れを惜しみ寄り添う者、もう時間だから行くね。灯る列車を見つめ続けるけれど音は消えていく。網棚に沢山の荷物を載せて、ボックス席で器用に眠り、どんな夢を見ているのだろう。再会を待ちわびて。寝台車両で幼子が目覚めてはまた眠る。眠れずに窓辺を拭い、曇る夜空の雫を見つめる者もいる。久しぶりに逢いたいな。夜が明けるまでは。さあ着いたわ。行きましょう。2023/04/02
あすなろ
96
文字が一切ない絵本が描く夜行列車。雪舞う早朝の暗がりの中、ラジオと珈琲と共にこれを開けば、僕も完全に別世界への旅立ちとなろうものである。上野発金沢行の夜行列車。もう乗りたくても乗れはしない。初出が1980年とあり、ついこの間の事の様な遠い年月でもある様な。精緻な絵の描き込みと共に素晴らしい時と思索の旅へ誘ってくれた一冊なのであった。大人の為とも言えそうな絵本。やはりこれを読むのであれば夜が良い。好きな珈琲やお酒を片手に旅に出るなぞ読書家ならではの愉しみで良いではないか。2025/02/22
Kawai Hideki
88
昭和の時代感が魅力的な夜行列車の旅絵本。上野から金沢まで。字はなく、乗客の列車内での過ごし方をたんたんと描く。子連れが夜泣きで困っていたり、サラリーマンらしき集団が缶ビールで宴会していたり、若い二人がトイレの前で壁ドンして語り合ったりなど。改札、乗車時、夕食時、就寝時、真夜中、明け方、到着前、降車時と、それぞれの登場人物が違う場面でどこにいて何をしてるのかを追いかけるのが楽しい。2014/09/20
yomineko@ヴィタリにゃん
74
いつの時代だろう。作者は1947年生まれだから昭和の真ん中あたりだろか。網棚に風呂敷包みがある!!!そしてたばこを吸っている。とてものどかな夜行列車。絵だけで文字はないのに、心に強く訴えかけてくれます🚃良い時代だったんですね😊2025/01/07
momogaga
73
【大人こそ絵本を】旅情があふれる絵本。 これからも読み続けていきます。 あわせて頭に浮かぶ歌は ”花嫁は夜汽車にのって とついでゆくの あの人の写真を胸に海辺の街へ” ”ああだから今夜だけは君を抱いていたい ああ明日の今頃は僕は汽車の中 旅立つ僕の心を知っていたのか” これらの歌も口ずさんでいきます。2016/07/04