内容説明
田舎に越してきた少年レイモンドは、毎日が本当に楽しくてきらきらしていて、体もむずむず、心もむずむず。そんなある日、どこまでも続くトウモロコシ畑の向こうの丘で、レイモンドは「ぼくだけのひみつ」を見つけます。センダックの絵とともにみずみずしく描かれる少年の大冒険!小学校中級以上。
著者等紹介
ディヤング,マインダート[ディヤング,マインダート][DeJong,Meindert]
1906年にオランダで生まれ、14年、八歳の時にアメリカに移住した。大学卒業後、いろいろな職業を転々としたが、小さな農場で働くかたわら書いた“The Big Goose and the Little Duck”が好評で、その後次々に作品を発表した。主な著作に『コウノトリと六人の子どもたち』(55年ニューベリー賞、岩波書店)などがある。62年には国際アンデルセン賞作家賞、69年には全米図書賞(児童文学部門)を受賞している。1991年没
センダック,モーリス[センダック,モーリス][Sendak,Maurice]
画家。1928年ニューヨーク生まれ
脇明子[ワキアキコ]
1948年生まれ。児童文学者・翻訳家。東京大学大学院人文科学研究科修了(比較文学)。現在、ノートルダム清心女子大学教授。「岡山子どもの本の会」代表。岡山県子ども読書活動推進会議会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
57
皆さんの評価が高いので読んでみました。幼い男の子と丘の上で孤独に暮らす老馬とのふれあい。主人公の男の子の純真さがいいですね。でも、幼すぎて何もかも思うように出来ない。読んでいてじれったかったり、ハラハラしてしまいます。馬とのほのぼのとしたやりとりもいいのですが、特に素晴らしいのが、お父さんとお母さんの子供に向ける優しさ。二人の愛情に満ちたセリフがどれも凄く素敵で、この物語の大きな魅力になっています。2018/09/22
ケロリーヌ@ベルばら同盟
42
素敵なレビューに惹かれて。広大なトウモロコシ畑が広がる丘陵地帯に街から引っ越してきた一家。学校に通う兄さんと姉さんは、末っ子のレイを赤ちゃん扱いにして、何やら楽しげな二人だけの秘密を持っているようです。レイだって負けていません。父さんに教わった生き物に丁寧に接する方法、母さんからの信頼、いざという時のクリッククロックのおまじないを携えて、畑道への冒険に出発します。機関車に変身して訪れた丘の上で、老いた白馬に出会ったレイは、忽ちその賢い馬のとりこになってしまいます。自然の中で優しい心を健やかに育む愛しい物語2019/02/02
ぶんこ
41
ああまた素敵な、馬の出てくる物語に巡り会えました。小学校入学前のレイが、一人遊びの中で出会った馬。お腹を空かしているだろうと、一生懸命にトウモロコシを取っているところでは「頑張って」と応援したくなってました。都会では味わえない体験。つくづく幼い子どもにとっては良い環境の田舎ですね。お父さんもお母さんもユーモアがあって優しくて素晴らしい。実にホノボノとするお話でした。著者初読みだったので、他の作品も読みたくなりました。2019/01/17
riviere(りびえーる)
26
どちらかといえば地味な物語なのに、しみじみとした感動につつまれます。一家で田舎に引っ越してきたレイ少年。父子で雄牛に追いかけられ、命からがら逃げてきたり、まだ見たことのないスカンク対応に困ったり、老いた白馬と心通わせたり。家族と自然の描写にわざとらしさがなく魅力的。1962年に原作出版とのことで「テレビがあたたまると…」の表現に思わずブラウン管時代を思い、なつかしくなってしまった私は昭和の人。2019/04/03
シュシュ
25
都会から田舎に引っ越してきたレイの家族。就学前の男の子レイの不安も含めた瑞々しい心理描写がとてもよかった。自分の子どもの頃を思い出しそうになった。お父さんは、ユーモアがあってちょっと抜けているところもあり、お母さんは、田舎のへびやねずみにビクビクしているのだけど、レイに対しては、しっかりと愛情を見せて時々きらりとすることを言ってくれる。レイの兄姉の奔放ぶりも面白かった。とうもろこし畑での子どもたちの遊び、丘の上の柵の中の馬に対するレイの思い、馬の持ち主のおじいさんとの出会いなど、終始惹きつけられた。2016/08/16