内容説明
上方文化が色濃く根付いた戦前の道頓堀・劇場街。その地で生まれ育ち、三歳から舞の手ほどきを受けた山村楽正氏。厳しく長い修業を経て、上方舞を代表する山村流の名手として活躍する一方、人気長寿番組「素人名人会」の審査員を長く務めた。しかし、舞扇を捨てようとひそかに決心した時期もあった。五十一歳、東京・国立劇場での『歌右衛門狂乱』。生涯最後と舞った舞は、圧倒的な賞賛に包まれ、再び始まった舞扇との日々。舞とともにある人生の、豊かな実りが語られる。
目次
第1回講座 上方文化の中に生まれて(地唄舞『鉄輪』の魅力;戦前の道頓堀界隈で ほか)
第2講座 戦後の新時代を舞扇とともに(品格を舞う;終戦の頃 ほか)
第3回講座 舞う心とは―実践を通して(主人公の性根を大事にするために;時には衣装を付けて… ほか)
第4回講座 豊かな出会いに支えられて(恋い焦がれる娘の心情をどう訴えるか;舞の会で初めて大劇場を満員に ほか)
著者等紹介
山村楽正[ヤマムララクショウ]
1923年、大阪市生まれ。3歳で山村流宗家に入門、14歳にて山村楽正の名を許される。芸には定評があったが、’73年から毎日放送「素人名人会」のレギュラー審査員を務め人気を博し、リサイタル「舞わせてもらいます」を定着させる。地唄『葵の上』で大阪文化祭賞、上方唄『三国一』で大阪市民文化功労賞、平成2年度芸術選奨文部大臣賞などを受賞のほか、紫綬褒章、勲四等宝冠章を授章
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