内容説明
人間社会、あるいは生物界に見られる多くの「つきあい」には、いろいろな利害対立がある。近所づきあい、ビジネスにおける取引関係、軍拡競争や関税障壁など国際間の問題、また、動物のなわばり制など、例は枚挙にいとまがない。そこでは、どのように協調関係が生まれるものなのか。この関係は、互いに自己の利益を追求する結果生まれ育っていくものなのである。その裏には、邪魔しあうより助けあう方が利益に結びつくという思惑が潜んでいる。本書は、この「協調か裏切りか」というジレンマ状況を、ゲーム理論をとり入れた進化生物学の観点から解き明かしていく。さまざまな社会行動に生じる利害対立を解決する糸口として、日常の人間関係を捉える一つの枠組みとして、興味深い考え方を示すものである。
目次
第1部 序論(協調関係の諸問題)
第2部 協調関係の出現(『しっぺ返し』の成功―コンピュータ選手権において;協調への道筋)
第3部 親交も先行きの見通しもない協調関係(殺しも殺されもしない戦争―第1次世界大戦の塹壕戦において;生物における協調関係の進化)
第4部 当事者と調停者へのアドバイス(効果的な選択とは;協調関係を育てるために)
第5部 結論(協調関係と社会構造;互恵主義のたくましさ)