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内容説明
10年経ってもグレイは変わっていないとエリザベスは思った。彼はモーテルの経営者になっていたが、相変わず町の人たちからは男のなかの男と畏敬されていた。だがクレイ自身は、自分はアル中の母がいる札つきの“悪”で、エリザベスのような“レディ”にふさわしい男ではなく、ただ彼女を守ることだけが自分の役目だと思っていた。そんなクレイにあきたりずエリザベスは10年前に故郷を捨てた。そしていま、結婚にも失敗し図書館司書の職も捨てて戻ってきた。人生に失敗したから帰ってきたのではない。クレイへの気持ちを偽って生きるのに耐えられなくなったのだ。いってみれば、クレイの愛を試すためだった。「抱いて、クレイ」彼女は酔いにまかせて誘惑しようとした。しかしクレイは、黙ったまま彼女を冷たく眺めるだけだった。