内容説明
小ぬか雨の降る九月の夜、イリノイ州観光局に勤めるイーデン・ペインは残業を終えて家路を急いでいた。シカゴ川の橋にさしかかったときふと川に目をやると、霧にかすむ川岸に背の高い男の姿が見えた。男は誰かを手招きしている。手すりに近づくと、エンジンの音が聞こえた。乗り出して見ると、男たちがぐったりとした女の体をヨットに投げこんでいる!「きっと死んでいるんだわ」思わずつぶやいた声が男の一人に聞こえてしまう。まっすぐにイーデンを見上げた男の整った顔立ちには見覚えがあった。州司法長官のスタントン・バーンズだ。身分証明書が入ったブリーフケースを欄干に引っかけてしまったイーデンは家に帰ることもできず、必死に逃げまわった末、波止場のカーニバルに紛れこむ。幸い、ゲーム小屋を仕切っているチックという男が助けてくれるが、次期州知事を狙うスタントンは、あらゆる手段を使って“目撃者”を消そうとしていた。悪の触手はカーニバルの中にも伸びてくる…。