出版社内容情報
日曜日の朝、何もすることがなかったので、ひろしは穴を掘りはじめた。誰のものでもない、自分だけの穴……。子どもも大人も引き込んでしまう世界です。
<読んであげるなら>4才から
<自分で読むなら>小学低学年から
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
165
絵本を読み終えて表紙を見つめ直して、あることに気づく。読んでいる最中に想像した見てみたいと思った景色、穴から見上げた青い空と白い羽が描かれていたのだから。本を読む前はなんの絵だろうとしか思わなかったのに、物語を通して谷川俊太郎さんの思いを受け取れたうれしさを感じる。聴こえてきた言葉、やさしさとともに。なぜあなを掘るのか、誰にもわからなくて、でも本人だけはそれを望んでいる。そこに言葉にできる理由はない。埋めてしまえばそこにあながあったことを本人以外は忘れてしまうのだから。やった人しか感じられない何かがある。2025/03/16
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
102
少年がある時思い立って、穴を掘る話です。ひたすらに掘る掘る掘る……。「なにやってるの?」「穴を掘ってるのさ」。「なんでそんなことやってるの?」「さあね」。「なかなかいいじゃない?」「まあね」。人の営みって、意外とこんなパターンが多いのかもしれないと思いました。やりたいからやる。理由はあとづけ。プロセスこそが大切なこと。うん、たぶんそうだ。谷川俊太郎さんと和田誠さんの絵本です。2015/06/20
♪みどりpiyopiyo♪
65
楽しい絵本を読みました。ああ、これは良い絵本♪ 子供の頃の こういう行動って、なんていうか 理屈じゃなくて、ちょっと哲学的な側面があるよね。ひろしも、出てくるみんなも、なんかいいなぁ。■谷川俊太郎さんと、和田誠さん。はぁ、良いもの読みました ღ˘◡˘ღ♡.。oO(1976年)2019/01/30
momogaga
60
【大人こそ絵本を】なぜやることが無くて、穴をほっていったんだろう?でもこれって、主人公と父親の思い出に残るだろうな。2016/05/29
らぱん
58
「穴」その⑦ ううむ。面白い。32頁30行ほどで世界がひっくり返った。読み手に想定される子供の好きな反復があり、それもあわせてまるでチェーホフの短編みたいな作品だ。 子供ならやりそうなごく普通の出来事が描かれているのだが、その普通がこうして切り取られてみると価値観を揺さぶられる物語になることに衝撃を受けた。 和田誠の描く絵のとぼけた可愛さと内容のギャップがシュールな味わいになっており、最終頁の絵には唸った。 和田誠も凄いが谷川俊太郎が凄い。・・・そして、子供って凄いんだってことを思い出した。 2020/02/20