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内容説明
この土地はあなたのものなの?ウィノナはその男にはっきり言ってやりたかった。「やあ、眠れる森の美女のお目覚めだ」居間にいた男が声をかける。ウィノナはかすれた声をあげてそれに答えた。平和部隊にいたときにかかったマラリアのせいだ。今でも時々熱に悩まされ、この農園に着く直前にも発熱し、家の玄関先のハンモックに倒れ込んだまま意識を失っていたらしい。なのにどうして今は居間の長椅子なんかにいるの?男はダニエル・リンチと名乗った。この人が農園の滞納されていた地税を払った人ね。ウィノナは起き上がり、長椅子の背にもたれかかった。彼が農園を自分のものにする寸前に相続人の私が現れたというわけだ。私にだって当然この農園に住む権利はあるはずよ。ウィノナは立ち上がろうとして、めまいに襲われ、そばにいたダニエルにすがりついた。そのとき彼女は思い出していた。夢うつつの中でハンモックから長椅子へと運んでくれた、あの力強い、素敵とも思えた男性の腕の感触を…。