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内容説明
上半身裸でゆったりしたズボンを身につけた男は、空手道場の一角で、流れるような太極挙の型を決めていた。動きにつれて、つややかな腕や背中の筋肉が波打つ。彼はいったい誰かしら?エスターは体の奥に不思議な震れを感じながら見とれていた。すると、男の目が彼女の姿を認めてきらめく。エスターは知らなかったが、その男アレグザンダーは、彼女が子供たちと遊ぶ様子を遠くから見かけたことがあった。愛情あふれる女神のような姿に憧れに近い気持ちを抱いたものだ。数月後、エスターの自然食品の店に現れた幼なじみのエイブが、友人だと言って紹介した相手こそ、あの太極挙の男。歴史学を教える彼は、エスターに頼みたいことがあるという。夏期講座で薬草について講義をしてほしい、と。彼女は引き受けることにした。仕事がらみなら安心だ。妻と死別したアレグザンダーと、離婚を経験しているエスター。一方は愛することを恐れ、一方は愛することに自信を失っていた。