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内容説明
イザベルは満たされぬ思いを胸に夜明け前の海岸を走っていた。すばらしい家があり、仕事も順調だったが、彼女はむなしかった。彼女のいちばんの望みは、子供を育てること。なのに三十歳になった今も、子供には恵まれていない。子供など望んでいなかったはずの妹も母親となった。未婚の母とはいえ、とても幸せそうだ。そのとき優しい波のざわめきにまじって赤ん坊の声が聞こえた。どうかしている。きっと猫の声に違いない。次の瞬間、イザベルは呆然として動けなくなった。それは新聞紙の上に置かれた赤ん坊だったのだ。イザベルは無我夢中で赤ん坊を抱えると、通りを走っていた車を止めた。「病院に連れていって。生まれたばかりの赤ん坊がいるの」車を運転していたクレイグは仰天した。「赤ん坊を産んだばかりでこんなところを走り回っていたのか」。